バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

あいちトリエンナーレ2016 豊橋会場へ行って来ました

 あいちトリエンナーレ2016 豊橋会場へ行って来ました。

豊橋まで行こうと思ったのは、水上ビルの鳥さん達に会いたかったからなんですけど、その他の作品も楽しく見て回ることができました。

豊橋という町の持つ雰囲気との融合も作品の見どころだったと思います。

では、岡崎会場と同じように私目線でみたものを並べていきたいと思いますー。 

 

『開発ビル』

趣のある古い建物で10階から下に降りて、各階の作品を眺める仕様になっていました。

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石田尚志さんの映像作品は、かつて劇場であった場所の至る所に光と影を生み出していました。楽屋であったり、舞台であったり。

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全体的に照明が暗いので、青やオレンジが映え、色彩の美しさが目に飛び込んでくる感じでした。

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こちらは佐々木愛さんの作品。真っ白な部屋の真っ白な壁に描かれた作品は部屋に入ったとたん「うわっ、きれい!」と素直に声がでるほど可愛かったです。

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近くで見ると緻密なのがわかるのですが、これはロイヤルアイシングで描かれているので原料が砂糖なんです。

説明書きを読んだ時に「ロイヤルアイシング」と書かれていて、なんだったけ?と思ったのですが、私もアイシングならケーキ作る時にやったことがあったなと思い出しました。そう思うと、うわ、これだけのサイズをアイシングなんて!と更に驚きますね。

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開発ビルは映像作品も多く、座ってゆっくり鑑賞できました。

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岡部昌生さんは三信鉄道のトンネル壁をフロッタージュした作品を展示していました。これは製作している写真だと思われます。

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「とよはし」のマンホールもフロッタージュ。

開発ビルは窓が大きくて空がよく見えます。

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作品でない、こういうものに惹かれるのは私のお約束。

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久門剛史さんの作品。暗い部屋の天井に映し出された模様が美しかったです。

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なんの模様かと思ったら、その下には数えきれないほどの時計が!

近くに寄ってみると時計の針が動いている音が聞こえてきます。

音と光。そこにいられるだけで幸せでした。

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 開発ビルのエレベーターです。

メーカー:日立

機種:ビルエースクオリティ80または80Ⅱ

もちろんエレベーター好きの息子に確認してます!

 

 

 『はざまビル』

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リビジウンガ・カルドーゾさんの作品。

アマゾンから62時間かけて持ってきたとの説明書きがありました。不思議な形をしていますが、これはNave(ナーヴェ)というもので、ブラジルでは音楽イベントやフェスなどにおいて、DJブース的に使用されるポピュラーなモノらしいです。(カルドーゾさんによると)

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なにやらこんな装置が置いてありました。

Naveには乗ってみることができるので、私も乗ってみましたが、ゆっくり乗らないとちょっとグラッとします。ある意味、スリリングです。

Naveは物々交換に成功するとプレゼントしてもらえるらしいですよ。なんだっけ?魔法の石だっけ?忘れちゃいましたけど、行って確かめて物々交換でぜひNaveを手に入れて下さい!

 

 『水上ビル』

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こちらは不要になったセメント袋を使ったプロジェクトです。

色んな落書きやコラージュがスクラップしてあって面白かったです。

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こんなのも貼ってありました。

書き込みオッケーのセメント袋もあったので、私も落書きしてきました。ぞうさんを描いたら「鼻がかたそう!」と友達に言われました。鼻がかたそうなぞうの絵を見つけたら、それ、私が描いたものです!

 

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さて、いよいよ来ましたよ!ラウラ・リマさんの「フーガ」。

ここは、ビルの上から下までに100羽の鳥が放し飼いになっています。

自由に飛び回る鳥たちのおうちを私達、人間がお邪魔させてもらうカタチ。

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確か、2階だったと思うのですが、歩いていたら手に鳥のフンが落ちてきました。

服に落ちるわけでもなく、歩いている私の手にフンをしてくるあたり「鳥たち、やるな……!」と思いましたが、私が一番ついていたのかも知れません。

だって、私の他にフンを落とされた人、見辺りませんでしたもん!

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とりさん、かわいい。

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よりどりみどり。

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屋上にいたとりさん。

とりさん、かわいいよ、とりさん。

 

『穂の国とよはし芸術劇場PLAT 』

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大巻伸嗣さんの作品「重力と恩寵」は私の好きな光と影が存分に生かされていて、とっても綺麗でした。

18時以降から作品の中にある発光装置が昇降するらしいのですが、私が行ったときは18時前でも昇降していました。

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発光装置がだいぶ上にあるのがわかりますよね。

どこの位置にあっても美しいです。

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描かれている動物や植物も素敵でした。

 

写真を撮らなかったんですけど、この他では水上ビルでみたイグナス・クルングレヴィチュスのインスタレーションが面白かったです。ふたつの画面に映し出される英語の対話と音が狭い部屋に響いていて強烈なインパクトがありました。けっこう長い時間、座っていた気がします。

 

***

さて、ここからはトリエンナーレの作品ではないけれど、私が気になったものです。

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まちなかにあった石像なんですけど、女の子の髪型がくじらのしっぽみたいでキュートでした。

 

更に、まちなかを歩いていたら、かわいい公園を発見!

「わぁ、かわいい!!」と言いながら、ダッシュで向かいました。

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車止めが「魚」なんですよ!かわいいー。初めてみました。

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公園内にいた動物も可愛くて可愛くて。ライオンさん。

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足の汚れたきりんさん。

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ポーズが味わい深いゴリラさん。

こういった公園にある動物に興味のある方には、あさみんさんの「コンクリート動物百景」をおすすめします!

八画文化会館叢書vol.02 公園手帖 コンクリート動物百景 - hakkaku .store

 

この公園の近くに小さいサボテンや多肉植物を売っているお店があって、気になりましたが今回はあきらめました(100円とか150円で売ってましたよ)

 

それから、あまりにもお腹が減ってしまい、写真も撮らずにたいらげたんですけど、「豊橋カレーうどん」というものを食べました。

豊橋カレーうどんはうずらの卵の乗ったカレーうどんを食べ進めると、とろろがあって、その下にご飯が入っているのです。カレーうどんも楽しめて、とろろごはんカレーも楽しめてとっても美味しかったです。

私は「玉川」さんで食べましたよ。

retty.me

豊橋カレーうどんについて知りたい方はこちらをどうぞ。

www.honokuni.or.jp

 

というわけで、あいちトリエンナーレ豊橋会場はとっても楽しかったです!

岡崎、豊橋を1日で回ったのですが、それぞれの会場とともに街の風景を楽しんでいたら、あっという間に日が暮れてしまいました。

本当は豊橋スマートボールがしたかったんですけどね…。

スマートボールはまた次回のお楽しみにしたいと思います。

 

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あいちトリエンナーレ2016 岡崎会場へ行って来ました

『あいちトリエンナーレ2016』 岡崎会場へ行って来ました。

展示されている興味深い作品とともに、建物の雰囲気や趣を存分に楽しみました。本当に楽しかったです。私は写真を撮るのが得意ではないので、私目線で見て気になったもの、面白かったものを記録として残しておきます。

 

 『名鉄東岡崎駅ビル』

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 建物が渋い岡ビル百貨店の中では二藤健人さんの作品がどどーんと置いてありました。私が訪れた日はこの階のエアコン修理をしていて、わりと大きな騒音がしていたんですけど、その音と共に眺めるのもなんとなく面白かったです。

 

『岡崎表屋』

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70年ぐらい前の建物。

1階は今でも事務所として使用しているとのことですが、2階、3階は長いこと空き家になっていたのを、トリエンナーレの展示をすることになり頑張ってお片付けをしたよらしいです。元々は、社員寮として使用していたんですって。曲線がいい感じ。

こちらではインドを拠点に活動されているシュレヤス・カルレさんの作品が見られます。

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それぞれの作品に良い感じの名前がついているのですが、まったく覚えられなかったので、なんとなく紹介します。えっと、「ホーロー製の桶に船が乗っかっているやつ」です。繰り返しますが、本当は素敵な名前がついてます。入口で作品名が書かれたファイルをお借りできるので、そちらで確認して下さい。

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古めかしい、この建物の雰囲気を生かして作品を製作されているのがわかります。

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こちらは作品ではないのですが、あまりにも素敵だったので写真を撮りました。

ドアの蝶番が大きいのです!なんでですか?と係の方に尋ねたのですが、詳しいことはわかりませんでした。「古い建物だから」って答えになっちゃいますね。

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マッチ、マッチ!

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ポッケロの昔の広告。ポッケロは開発されてから30数年が経っているようですが、これは初期の頃でしょうか?雰囲気が好き。

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これも作品ではないのですが、どうやら私は「光と影」が好きなのだと今回あらためて思いました。天井に映る影を長時間眺めていられそうです。

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これも作品ではありませんが、見たとたん「スキニー!」と声を出してしまいました。係の方が、「これ、作品じゃないんですけど、皆さん、写真を撮っていかれるんですよね」と笑っておられました。「GENERAL ELECTRIC」って書いてあるし、70年代後半から80年代前半のものでしょうかねぇ?そのあたり詳しくないのでわかりませんが。このエアコン、まだ動くらしいです。

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 岡崎表屋でぜひみて欲しいのは、ぼこぼことした凹凸のあるガラスです。係の方がお話してくれたのですが、当時のガラスらしいですよ。

ここは作品もさることながら、建物の雰囲気を眺めて楽しめる場所だと思いました。こんなことでもないと入ることの出来なかった場所、ですね。

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 来場記念品として、マッチをもらいました。建物のおかたづけをしている時に大量に出てきたので、来場記念品にしちゃおう!ってことになったようです。可愛らしい。

 

『岡崎シビコ』

岡崎シビコは入場してすぐ、ミソスープスタンドへ行きました。

数量限定のスソスープはハンドドリップで提供して下さいます。地元の八丁味噌を味わいたい方は無料なのでぜひ立ち寄ってみて下さいな。(ミソスープがなくなったら、豆乳になるみたい)

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 作品の説明ができるほどの知識がないので、雰囲気だけ。

 

今回のトリエンナーレとは直接関係ないのですが、シビコが発行している冊子をもらってきました。

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好き。表紙、好き。

「シビコ完全網羅マップ」の言葉どおり、内容が充実しておりました。

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70年代に立てられたシビコの見どころを紹介したページ。エレベーター、ミシン、ぽつんと寂しそうな乗馬マシン。素敵です。

 

シビコにある「バナナレコード」では、店頭に並べてあるダンボールの中のCDが500円均一だったため、なんとなく眺めてしまいました。ナンバガズボンズ、などの間に久宝留理子があって、思わずにやりと笑いました。お宝探せるかも知れません!

 

 

『石原邸』

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岡崎駅から一番遠い所にあった石原邸。ここも素敵な建物で、建物内の雰囲気もとっても良かったです。

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30種類以上のスパイスが置いてあり、ガラスの蓋をそっとはずしてにおいを嗅ぐことができます。

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係の方(ご婦人)が「1つだけ強烈なにおいのスパイスがあるんですよ!当ててみて下さい」とおっしゃられたので、よし!探してやる!としばらく眺めたあと、1つを選んで手に取ったら「ちょっと、お姉さん、ちょっと!」とご婦人が笑いながら鼻をつまむ真似をされました。どうやら、一発で当てたらしいです。やった!

ちなみに、匂いがきついスパイスは「アサフィティダ」です。嗅ぐときは直接鼻を近づけずに、手であおぐようにして嗅ぎましょう。

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蝶がたくさんついた照明が可愛かったです。

色が変化する照明なんですけど、蝶々の美しさが際立つのはこの色だと思いました。

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タイルに興奮。

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かわいい。

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これもかわいい。

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「LOVE」

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柴田真理子さんの作品は、手に取って、好きなように棚から棚へ移動させることのできるものでした。手荷物を棚へおき、緊張しながら触れてみます。

好きな作品を好きな位置へ。作品も素敵だけど、影も素敵。

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これが素敵でした。実際に見るともう少し味わい深い色合いなのです。

 

***

写真は撮りませんでしたが、籠田公園のネットプロジェクトにも参加してきました。毛虫みたいな毛糸があったら、それがたぶん私のです。毛虫を作るぞー!と思いながら巻いてきました。

 

あいちトリエンナーレ岡崎会場はとっても楽しかったです。自転車で回ろうと思ってたんですけど、直前で色々ありまして徒歩にしましたが、徒歩でも十分回ることができました。岡崎城の近くにあった蔦のからまる建物も素敵でした。

 

歩いている時に気になってしまったダンボールの写真を最後に載せて終わりたいと思います!

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薄板界のトップ「ハイロン」

気になってしかたないよ!

 

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通っている美容室が好きだという話

髪の毛を切った。

髪の毛を切るたびに、切った!切った!とブログに書きたくなるのはなぜだろうか。

目で見てわかる変化に何か新しいことが始まりそうな気配でもしているのだろうか。

私は私に何を期待しているのだろう。

***

私は今通っている美容室が本当に好きだ。それまではいくつかの美容室を回っていたのだけれど、今の美容室へ行ってからは「ここ以外考えられない!」と思うほど気に入っている。

外観も可愛らしい美容室。ドアを押して中へ一歩入ると、素敵なインテリアが目に入ってくる。特に、照明の形が様々なのが素敵で、いちいち見て回りたくなってしまうほどだ(迷惑なのでしないけど)。お店のお姉さんがにこやかに迎えてくれ、席へ誘導してくれたかと思えば、ほどなくして担当のS兄さんが笑顔でやってくる。Sさんは保育園へ通う男の子のお父さんなので、主にこどもの話をしながら、時々髪型の話をしている。私は昔からあんまり「コレ!」と髪型を決めていかずに、長さだけを伝えると、細かいことは担当の方に任せてしまっている。担当の美容師さんは私をいったいどんな髪型にしてくれるのだろう?ということに興味がわいてしまうのだ。

あの人の目に、私はどんなふうに映っているのだろう?

私が知らない私を見せてくれる、引き出してくれる人たちに「素敵な私にしてください!」と思いながら切ってもらっている。

Sさんが「ココをこうしたいのですが」と話してくれた時、知識のない私は「あ、いい感じになるなら好きに切っちゃってください」と答える。

「大丈夫です。変なふうにはしませんから」

Sさんのその言葉を信じていつも切ってもらっている。

 シャンプーをしてくれるお姉さんもいつも丁寧だ。さらさらとしっとりのどちらが良いか、どんな香りが良いか、などのシャンプーの説明をしてくれたあと、気持ちよく洗ってくれる。横に倒された頭の上の方でシャワーの音がしているのが心地良いと思う。シャンプーが終わると、次は頭皮や首、肩のマッサージをしてくれる。とても気持ちがいい。お礼を言うとお姉さんの赤い唇がにっこり微笑んだ。

お姉さんがSさんを呼んできて一緒にドライヤーで髪の毛を乾かしてくれた。右にはSさん、左にはお姉さん。「私の濡れた髪の毛のために2人のひとが手をかけてくれるなんて!まるでお姫様じゃん!」とか考えていちいち感激していた。相手は仕事なんだから…なんてことは思わずに、私の気持ちさえ良ければそこは特別な場所である。

途中、もう髪の毛を乾かすのはSさんだけでいいんじゃないかな?お姉さんはもういいんじゃないかな?ってちらっと思った。すると、ちょうどそのタイミングでSさんがお姉さんに「ありがとう」と言った。お姉さんは頭をぺこっと下げるとドライヤーを持ったまま離れていった。Sさんのお姉さんに対する「ありがとう」は「もう、ここは大丈夫だから行っていいよ」の意味なんだなって思った。

髪の毛を乾かしたあと、Sさんは仕上げのカットをしてくれた。私は細かく動くはさみをずっと眺めていた。

「前髪どうします?」

Sさんに聞かれた。私はいつも前髪を下しているので、そのまま短くしてもらおうと思っていた。だが、そこでSさんは「斜め前髪にしましょうか?」と提案してきた。

私は「斜め前髪の良いところってなんですか?」と尋ねた。

Sさんはこう答えた。

「こどもっぽくなり過ぎないところと、斜めにすると透け感が出ていいんですよ」

……透け感ですって!

「透け感」は、響きは良いけど、いまいち理解しきれない言葉のひとつだと思っていたので、食い気味に「す、透け感出してください!!」と言ってしまった。

Sさんは笑いながら「変なふうにはしないんで」といつものトーンで言った。

前髪にはさみを入れられるとちょっぴり緊張した。でも、出来上がった前髪はゆるやかな斜めでやりすぎ感はなかったんだ。

一番短いところが眉上で、一番長いところが眉よりちょい下って感じ。あー、けど、ちゃんと斜めだー!って思ったらにやけてきた。

にやけながら、出してもらったアイスコーヒー飲んで、ふぅっと一息ついた。

お会計をすませると、お姉さんがドアを開けてくれた。

「ありがとうございました」「ありがとうございます」

お姉さんの声と私の声がちょうど合わさった。

お姉さんはずっと頭を下げていてくれた。

私の車が動くまで、ずっと。

 

私が手に入れたのは、優しい気持ちと軽やかな髪の毛とはじめての透け感だった。

 

今通っている美容室が本当に好きだ。

だから、また行くのが楽しみだ。