バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

ごとうみづきさんの『おなみだぽいぽい』が素晴らしかったのです。

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ごとうみづきさんの『おなみだぽいぽい』を読んだ。

読み終えたあと、体の中に入っていた何かがすっと飛んで行ったような気がした。

すごいと思った。

絵本をずっと読んでいると、絵が素敵だとかじんわり優しくなれるとか、そういった意味でのお気に入りの絵本に時々出会うのだけれど、「すごい」と言わずにはいられない絵本に出会う機会はほとんどない。

けれど、『おなみだぽいぽい』は「すごい」とはっきり言いきれてしまう力があった。

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主人公であるねずみの女の子の気持ちが痛いほどよくわかる。

なみだがぽろぽろこぼれてしまうときはぽろぽろながしてしまえばいい。

何が辛いかうまく言葉にできないけれど、それでも泣きたいときってあるじゃない。

鮮やかな赤、言葉の響き、ぱんのみみのパンチ力、各ページの構図、どの角度から見ても素晴らしい絵本だと私は思う。

 

「ひとり静かに読む絵本」として、多くの人に読んでもらいたい。

帯に書かれた「対象年齢0歳~100歳超」は決して言い過ぎではないと思う。 

 

おなみだぽいぽい

おなみだぽいぽい

 

 

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メリーゴーランドの店主、増田さんとごとうさんの対談を読むとさらに面白いからおすすめ。 

www.mishimaga.com

 対談の中で2011年に開催された「とびだせ! みえの絵本作家たち展」にも触れている。私は2011年の3月にあの展覧会に行くことができて良かったと思っている。

各絵本作家さんの力をもらって、私は今も絵本を読み続けている。

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「とびだせ! みえの絵本作家たち展」を楽しむ6年前の娘。

 

ねこ ねこ

外出先から帰宅し、車を車庫に入れようと近づいたら、車庫の前にトラ模様のネコがいた。ネコは車がきたら避けることをすでに学んでおり、しゃっと動いてはくれたのだがネコが向かった先は車庫の中だった。私はバックで車庫に車を入れなければならず、ネコをひいてはしまわないか不安ではあったが、バックで車を動かすとライトはつくし、音も出るし、何より私の車にはバックモニターがついているので、確認しながら進めば間違いないであろうと判断した。

プープープー。

ゆっくり車を進めていく。バックモニターにしゃっと動いたネコが映った。

車を止めて、車庫から出るとネコはこちらをチラッと見てからどこかへ逃げていった。

数時間後また車で出かける用事があったため、車庫へ向かうと陽のあたる場所でトラネコが優雅にあくびをしていた。近づいたらひょこっと立ち上がり、走り去っていった。

あまりにもネコが我が物顔で家の庭や車庫をうろうろしているため、私が余所者のような気がすることがある。

ここって私の家で間違いないの?

不安が波のように寄せてきて消え去ることがない。

 

数日前のこと。小学生が登校する際に集まる公園で、なかなか登校しない男の子がいた。交通指導をしてくれているおじさんが話しかけたところ、どうやら子猫がみゃーみゃー鳴いていて、男の子は子猫から離れられずにいたようだった。

洗濯物を干している私の耳にもか細い声ではあるが、みゃーみゃーと子猫の声が聞こえてきた。

男の子はおじさんから「可愛いけど、飼えないのだったら優しくしすぎるとかわいそうだよ」と言われていた。その言葉の意味を男の子は理解しただろうか。

男の子は生垣の間をあちらから、こちらから、何度も何度も覗いては名残惜しそうにとぼとぼ学校へ向かっていった。

 

私はそんな男の子の動きから目を離すことができなかった。

 

 

ねこねここねこ (グラビアンスキーの絵本)

ねこねここねこ (グラビアンスキーの絵本)

 

 

 

 

『よるのおと』

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私は寝つきが良いのだけれど、時々夜中に目を覚ます。

不安なことが続いたりしている時に目を覚ますことが多いようなのだが、夜中に起きてしまうと夜があまりにも永遠にあるようで怖くなったりする。

一年を通してみれば、夜の長さは違うけれど、昨日の夜と今日の夜はさして変わらないはずなのに、どうしてこんなに長く感じるのだろう。ぐっすり眠っている時はあっという間に朝がやってくるというのに。

 

たむらしげる『よるのおと』を読んだ。

最小限の文章で、夜のわずかなひとときを描いている絵本なのだが、あまりにも壮大で驚いた。青の美しさ、白の輝き、動物たちの動き、配置、息づかい、どこをとっても素晴らしいのひとことに尽きてしまう。

広がる波紋を見て泣きそうにもなった。

 

夜にドライブすることがある。

昼間では見えない景色と空気がそこにはあって、街から外れると鹿に遭遇することもある。鹿は目を光らせてこちらの様子をじっと眺めていた。

 

こどもの頃、父親にカブトムシ捕りに連れて行ってもらった。まだ薄暗い中を樹液の出た木を頼りに、カブトムシやクワガタをたくさん捕まえた。蚊に刺されながら、むしかごにカブトムシを入れていく。夏の、湿気が多いべったりした夜だったけど、心は爽やかなくらい軽かった。幸せだった。

 

気持ちが軽くなるような夜を過ごしたい。

明日が待ち遠しくなるような。

 

 私の過ごしている夜に、多くの人の知らない夜がある。

 

 

 

よるのおと

よるのおと