バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

紅緒さんにはなれなかった

f:id:bambi_eco1020:20140304155705j:plain

花粉症は突然発症するものである。

 

昨日までは春の日差しの中で「あたたかくていいわぁ♪」とスキップしていたのに、ヤツにかかることにより幸せだった春がだんだん憂鬱な季節に代わっていく。

 

そう、あれは短大の卒業式の日のことだった・・・。

 

私はごくごく普通の家庭に育ち、幸せに暮らしていたが自分が高校受験をする年齢ぐらいになると家の懐事情をなんとなく察するようになった。私には2歳上の兄がいて、そういった懐事情はなんのその、自分が思うようにねだったり好きなことをしていた。(やりすぎない程度ではあったが)私はそれを見て「高校は県立高校にしよう」とか「あ、浪人はしないようにしよう」とかそんなことばかり思っていた。

成人式の時も「振袖を着なくていい」と思ったけど、親が着て欲しいというのでその言葉に従った。(親となった今はその気持ちは十分理解できるものです。親の好意は素直に受け取っておいた方が良いと思います)

ただ、記念に写真を撮るのはイヤだ!と断った。あれって高いじゃないですか?そんなことまでは必要ないと思った。「それでも・・」と家の前で父親が写真をカシャっと撮ってくれた。

そんな感じで成人式や振り袖に金銭的な意味も含めてそこまで興味はなかったが、ただ1つ譲れないことがあった。

それは卒業式に「袴」を着ることである。

 

なんてことはないただの憧れだ。

 

はいからさんが通る』の紅緒さんには女の子だったら誰でも憧れると思うのだが、紅緒さんの袴姿が素敵すぎて、「ああ、袴を着られる機会があるなら必ず着よう!」とずっと思っていた。その機会がついに訪れたのである。これを逃す手はない。

レンタルで紅緒さんと同じような袴をお願いし、髪の毛もおろしてリボンをつけた。あ、リボンはあそこまで大きいのはさすがに・・だったのでもう少し落ち着いたやつにした。

着付けをし、髪の毛を結ってもらったら、「おお、紅緒さん!!」とテンションがあがった。先に言っておくが顔はついてきていない。あくまでも雰囲気である。

花の子ルンルンのように「るるるん るんるん♪」と言いながら、卒業式会場をめざし電車に乗る。

電車に乗りしばらくすると、鼻がムズムズし出した。「ん?風邪ひいてたっけ?」と思いながら、ティッシュを取り出し鼻水を拭く。そしてまたしばらくすると鼻水がつーーっと音もなく静かに流れてきた。それとともにくしゃみも出始めた。

ハンカチ、ティッシュをバッグからごそごそ、総動員で立ち向かうも全く追いつかない。

ツー、クシュン、ツー、クシュン・・すでに顔は鼻水とくしゃみで化粧も落ちグダグダだった・・。

 

自分に何が起きたのかわからなかった。悪夢を見ているようだった。

 

私はあの憧れであった紅緒さんになったのに、

なぜその日に花粉症にならねばいけないのか!!

 

卒業式の会場についたころ、そこにはあまりにも哀れすぎる紅緒さんが出来上がっていた。

友達は特にそれに触れなかった。今となってはそれが優しさなのかどうか知る由もない。

 

そして現在。

花粉症であるもののそこまでひどい状態ではない。

結局、一番ひどかったのはあの卒業式の日だったのだ。

神様はイタズラが好きだ。ただちょっとやりすぎただけだ。

好きな女の子にはイタズラしてしまう小学生男子並だ。

だったらもっと大人になってよ・・ねぇ、神様。

 

どこかで袴を着られる機会があるならリベンジしたい。

その夢だけを心にしまい、また明日から頑張るのである・・くしゅん!

 

はいからさんが通る ぬり絵

はいからさんが通る ぬり絵