本屋さんで何となく手にしたこの本。
とっても面白かったですー。
内容は訳者のあとがきがわかりやすかったのでそのまま引用します。
ローマにある架空の英字新聞社を舞台にした連作短編集。ほろ苦く、おかしく、せつなく、ときに痛い十一の物語が、新聞の世界で生きる十一人を主人公に綴られ、さらにそれぞれの物語の末尾に、違う時間軸に沿った小さなエピソードが添えられて、そのエピソードをつなぎ合わせると創刊から廃刊まで五十四年間の沿革になる。
原題が『The Imperfectionists』(完璧ならざる者たち)なのですが、完璧ならざる・・と言うのがとてもしっくりきます。短編でありながらどの主人公もとても際立っており、頭から離れない。
誰もが欠点があり、「ああ、そういうのあるある!」と思うものが多くてクスリと笑えました。だけれどもそれが、ちょっとグサグサ刺さったり、せつないなぁ・・と思ってしまうんですけどね。
それぞれの話は新聞の見出しのようなタイトルがついているのですが、『世界最年長のうそつき、百二十六で逝去』という訃報記者アーサーの話は好きです。訃報記者ってだけでなんだ?って感じなんですけど切なくもああ、そう終わるのって思いました。
『中国の景気後退への懸念から株価が暴落』という経理部長アビーの話は、結末が途中で見えるんですけど、その場面を思ったらゾクッとします。
自分が思っている「自分」と他人から見えている「自分」は必ずしも一致しないためズレが生じ、痛い結果になるんだろうなとそんなことを思いました。
いやぁ、でも私もとんだ勘違いはけっこうする方なので「あ、え?そういうことなの?・・ははっ、もちろんわかってたよ」と素知らぬフリをしてみてるけど、かなり相手にバレてるんじゃないかと思ったら、ものすごく恥ずかしくなってきました・・(笑)
カタカナの名前を見てると時々わからなくなって、ページを戻ったりする私ですがそれを差し引いてもとっても面白かったので是非読んでみて下さい。
もしも気に入られたら、トム・ラックマンの次作が5月に刊行されるらしいですよー。私も楽しみに待っていようと思います。