大抵2、3冊ぐらい探している本がある。
それは絵本や児童書で、子どもの頃に読んだ本の中でも何か惹きつけられるものがあり、ずっと記憶の中に留まっている。
絵本でなくとも「思い出の本」や「何かが気になる本」と言うのは誰しもあるのではないだろうか?
そう思っているのは読み手である私達だけではなく、本の中に出てくる登場人物も同じかも知れない。
『つづきの図書館』を読んだ。
「本を探してもらいたいのではない。青田早苗ちゃんの続きが知りたいのじゃ。」と40歳を越えたバツイチの司書である桃さんの前に現れたのは、なんと裸の王様だった。
話の流れとしてはその後も本の登場人物が出てきて桃さんが一緒に人探しをする。
登場人物が気にかけている人々は探っていくと様々な家庭の事情があった。
離婚、継母、養子・・・と、とても児童書という枠組みでは収まらない大人の事情。
子どもだからこそ、この本から伝わるもの(おそらく大人への訴えや問いかけ)、大人だから理解出来る辛さや虚しさ。どちらも想いながら読むとグサリとしたり、じんわりしたり。
柏葉さんの文章と要所にある山本さんのイラストがとても良い。
重たい内容のようでいながらもスラスラ読めるのは登場人物が飄々とさっぱりした雰囲気であるからだろう。
裸の王様なんて愛らしすぎて、私のところにも来て欲しい!と思う。
読後、この本が赤い表紙なのはそういうことだったのか!と思った。たぶん、気づく人は早い段階でわかるのだろうけど私は鈍感すぎた。
先ほども書いたが、内容も然ることながら主人公が40代の女性というところも大人が読んで共感できる部分が多いはず。児童書でなくてもいいよ、この本。