昨夜はしとしとと雨が降っていたが、朝は眩しいくらいの快晴であった。
私の家は昔ながらの瓦屋根で、2階はあれどベランダが存在しない。
洗濯物は外にある物干し台かルーフの下で干している。(斜めに降っているような雨の時はさすが部屋の中で干している)
2階にはベランダがないせいか掃き出し窓がなく、ほとんどが腰高窓の造りとなっている。
よって、風の循環があまり良くなく、夏は暑くてたまらない。
今の時期はまだ耐えられるが、夏真っ只中になったら1階へ移動して寝る方が過ごしやすいぐらいだ。
今日はそよそよとした風が吹いており、腰高窓にかけられたレースのカーテンの裾が揺らいでいるのを確認したので、午前中は2階で本を読んでいた。
内田百閒の『冥途』を再読したのだ。
私が持っているのものは金井田英津子さんの画入りで文章を楽しむだけでなく目で見ても十分楽しめる。金井田英津子さんの画のインパクトと言ったらそれはもう!上手く説明出来ないので「見て!」としか言えないのだけれど。
内田百閒の『冥途』はほんの少し背筋が寒くなるので、こんな時期には良いかも知れない。
「冥途」の他では「件(くだん)」や「花火」が良いと思う。闇や不可思議なコトを恐怖に感じると、なんだか世界もどこか歪んでいて常に恐怖との戦いのような気がしてくる。
「そんなの気の持ちようでしょ?」とか言いながら、みんな影で怯えているんだろうと思ったりするのは私の妄想癖のせいであろうか?
いやいや、妄想バンザイ。
私がこの本を購入したのは、埼玉にある忍書房である。
夏葉社から出版されている『本屋図鑑』にも掲載されている本屋なのだが、見た目はごく普通の昔からある町の本屋と言う感じだ。
中に入ってすぐ目の前にある棚を眺めた時に「あれ?ココって普通の本屋とちょっと違うかも知れない」と初めて気づく。
都会ではないこの場所で夏葉社の本が揃っていれば誰だってそう思うだろう。
その棚をじっくりと上から下まで眺めている時にこの本と出会った。
コミックは箱の中に背を上にして立ててある(こういう陳列をなんというのか知らないのでごめんなさい)ような置き方だったりして面白かった。
場所柄、のぼうの城関連の本もいくつかあった。
そうそう、忍書房のブックカバーは忍城俯瞰図なのでこれを眺めるだけでも楽しい。
ちなみにこちらがブックカバー。
私が行った時は店主は不在でおそらくお姉さんと思われる方が対応して下さった。
店主さん、平日は出版社勤めらしい。
その店主さんが以前書いたこちらの記事を読んだ。
おおっ、これはちょっと読んでみたい。
眺めるだけでも良いから見てみたい。
そんなことを今日は思った。
風でひらひらと揺れるカーテン。
実は誰かがラーメンを冷ますようにフゥフゥと息を吹きかけているのかも知れない。
またそんな妄想をしながら階下へ降りていった。