子ども達は毎朝6時30分過ぎに起きるのだが、夏休みになりラジオ体操が始まった事で、もう少し早く起きなければいけなくなった。
今日は6時10分ぐらいに起床した。
寝起きの良い息子はそそくさと着替えて準備完了。
寝起きの悪い娘はうだうだと着替える服を出して、自分の周りに広げていた。
「ねぇ、まだー?」
息子が玄関で娘を呼んでいる。
「もう、終わるから・・」
「早く!行っちゃうよー」
几帳面な兄とマイペースな妹。きょうだいのバランスとしては良いのかも知れないとそんなことを思いながら眺めていた。
昨日、左上にある穴にビニール紐を通したラジオ体操出席カードを首に下げ、2人揃って「行ってきますー」と出て行った。
私はその間にごみ出し。今日は燃やせるゴミの日。
朝食の準備を終えた頃、「ただいまー」と子ども達が帰ってきた。
「なんかさ、僕、みんなの前で体操したよ」
息子が照れ笑いをしながら言った。
この小さな地区ではラジオ体操に来る子供は20人くらいで、5.6年生が日替わりで前に出て体操をするのだ。
「そうなの。20人ぐらいならまだ良いわよ。私、運動会の時に朝礼台の上でラジオ体操させられたことがあるんだから!」
「え?本当に?」
私は小学生の時、運動委員会に所属していたのだが、なぜか委員長をすることとなり、その流れで全校生徒、更には運動会を見に来られた保護者もいる中、朝礼台の上でラジオ体操をしたことがあるのだ。
一応、少しは練習した。その時に「ラジオ体操も侮れん・・!」と思ったのだ。指先まで神経を尖らせるとラジオ体操はけっこうキツイ。
息子は運動が苦手だけどラジオ体操はしっかりと教え込もうかしら?と思った。
子どもは夏休みでも私は仕事があるので、「行ってきます」と家を出た。
いつもより静かな街並み。なぜだろう?と思ったけれどすぐにわかった。あぁ、通学する子ども達がいないからだ。
道路をスイスイと車が進んでいく。
市街地を抜け、青々とした田んぼが見えてきた時、向こうから練習着に身を包んだ野球部の子が走ってきた。
甲子園のイメージが強いせいか「夏」と「野球」はとても合うと思っている。
青い稲と少し薄汚れた練習着の彼はキラキラと輝いていた。
また少し車を走らせると4人の自転車に乗った女の子が視界に入ってきた。全員、ひっつめた髪型でけらけらと笑う顔が素敵だった。新体操でもやっているのかな?と思った。
その後、プールのある遊園地近くのコンビニへ寄った。
いつもなら、少し疲れたお兄さんなどが多い店内は子連れで賑やかだった。これからプールへ行くのであろう。肩から水着が見えている女の子もいる。
レジで商品を差し出し、店員さんが対応する。この店員さんは顔なじみである。
彼女が「ありがとうございました」と言った時の表情は
『なんだか夏休みって感じですよね?』
と一緒に言っているように感じた。
私はいつも店員さんに「ありがとうございました」と言われたら
「ありがとうございます」の言葉を返す。
今日はその言葉を発する時に
『そうですね。夏が来ましたね』
と心の中で呟いていた。
野球部の子が走っているのを見た時、私のカーステレオからこの曲が流れていた。
「出来すぎじゃない?」
とちょっぴり笑った。