息子が「これ、お母さん宛なんだってー」と学校から私宛となっている茶封筒を手渡してきた。
開封し、書面に目を通した。
「卒業式の日に子どもへ渡す手紙を書いて頂けないでしょうか。小学校生活を通じて、成長したと思う事やこれからのことなど内容は自由です。それぞれお子さんへかけたい言葉を書いてください」
書面にはそんなことが書かれていた。
そして、可愛らしい便箋と封筒が同封されていた。
私はふぅんとだけ思い、そのまま茶封筒に書類を入れ2、3日置きっぱなしにしていた。
日曜日。本を1冊読み終えた時、なんだかその手紙を書きたくなったので、便箋を広げ、特に何も考えずペンを走らせた。
まずは息子の名前。そして卒業おめでとうの文字。
この先に続く言葉は私の手にお任せしようとすらすら書き綴ってみた。便箋の最後の行まで書いたところでペンを置き、今、書き終えたばかりの文章を読み返した。
その文章を読んで「ああ、これはきっと本当に今、私が息子へ伝えたいことなのだろう」と思ったんだ。
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色々なことがあろうともあなたは真っ直ぐ前を見て歩いてきました。それは素晴らしいことだと思います。あなたが見ている目と同じようにあなた自身も真っ直ぐに成長したのではないかと私は思っています。
この先、今までよりも嫌な思いや、理不尽なことも経験するでしょう。
それは心身ともに成長していく上で逃れようがありません。
けれど、あなた自身が「自分は大切な人間である」という事は忘れないでほしいのです。
それからあなたのことを必要とし、大事に思ってくれている人もいますので、辛くなったら声をかけて下さい。
またここから共に歩んでいきましょう。
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すでに封をしてしまったので、読み返すことは出来ないのだけれどそんなようなことを書いた。少しばかり照れもあるし、くさいかな?とも思うけれど、節目だもの、いいじゃないのって自分で自分に言い聞かせている。
私はあなたに会いたくてあなたを産みました。
あなたに出会えて良かったです。
さて、息子はこの手紙を受け取りどんな反応を示すのでしょうかね。
おそらくにやにやして何にも言わないとは思いますが・・・。