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バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

2015.5.31 〜小さなプライドと色のある文章

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中学生の頃、定期テストの1日目が終わると、「今日は家に帰って何時から何時までは数学やって、次は国語やって…」みたいに2日目の勉強計画を細かく立てるのが好きだった。勉強するのが特別好きだったわけでもなく、ものすごく賢いわけでもなかったけれど、計画を立ててこなしていくのは好きだった。

ある日のテスト後。同じクラスのみぃちゃんに「少しおしゃべりしてから帰ろうよ」と言われた。けれど、そこで時間を使ってしまうと私の勉強計画が崩れてしまう。
「ごめん。予定があるからまた今度ね」とやんわり断ると「何があるの?」とみぃちゃんはしつこく聞いてきた。仕方なく「こうやってね、勉強計画を立ててるの」とそのまま口にしたら、クスクスと笑われた。そして、次のテストからは「あ、勉強の予定があるんだもんね」とクスクス笑いながら毎回言われた。そんな言葉を発するみぃちゃんの顔は灰色がかって私には見えたんだ。
きっと私のこと、私のすることが気に入らないんだろうなぁと思った。みぃちゃんとその周りの何人かの友達は私と同じ部活だったため、顔を合わせることは多かった。けれど、近い存在ではなく、気にしないようにすればそれで良かった。
それなのに、みぃちゃん達は私が通っている塾に揃って入塾してきた。私が通っていた塾は校区内ではなかったので、わざわざ来なくてもいくらでも塾はあったのに。個人塾で、塾長の授業はチョークが飛ぶこともあって、息を止めなければいけないくらい怖くて、けど時間が経つのはものすごく早い授業は様々な意味ですごかった。もしかしたら私が「なんかわかんないけど、すごいんだ」って言ったからこの塾に入ってきたのかな。でも私のこと気に入らないみたいだから他の塾にすれば良いのに。気にしないようにしたいのに、どうして気になる場所に入ってくるのよと少し苛立った。
言葉にはしなかったけれど。普通の顔をしていたけれど。
 
中学3年生になると、毎日塾の自習室へ通うようになった。ほとんどの子は22時になると荷物をまとめて帰り始める。みぃちゃんもその時間に帰る。私は「もう少しだけやっていく」といつも言う。理由は2つ。一緒に自転車で帰るのがなんとなく気が重たかったことと、同じだけ勉強したのでは同じだけにしかならない気がしたからだ。残る私を見て、少しだけクスッと笑うみぃちゃん。
見ないように。気にしないように。
 
22時を過ぎても自習室に残っているのは3人ぐらいで、いつも似たような顔ぶれだった。塾長は「お前らはよく勉強するなぁ」って言ったけど、私は純粋に勉強したくてだけの理由ではないので、チクリと針が刺さったような気持ちになった。
私の中の小さな悲しみと我慢とプライドの問題。
この問題を解くのはこんがらがった紐をほどくようだった。
 
23時を過ぎて帰り支度をし、自転車にまたがり、ペダルをこぐ。
暗くなった世界はちょっぴり怖かったけれど顔に当たる風は心地よかった。
当時、携帯電話がない時代だったので、23時までに家に着かない場合は途中まで母が迎えに来てくれていた。だいたい落ち合うのはセブンイレブンの前。23時になるとシャッターが閉まり、暗くなったセブンイレブンの前。
中からうっすらと灯りはもれているけれど、暗い四角い箱になったセブンイレブンに輝きはない。
交差点の信号がしめす「赤」が闇の中でぽっかり浮かんでいるようだった。
 
 
見ないように、気にしないように、と呟いているけれど、人一倍気にしているのは私自身。
「同じだけにしかならない」は学力だけの話ではなく、人としての話。
笑っちゃうくらい頑固で気が小さい。けど、集団になって陰で笑うことはしたくない。
「ひとりでも立てる」と示すことだけが私のプライド。それだけが支え。
バカみたいだなって思っていたけれど、その頃の私が手に入れたモノは今でも役に立っている気がする。
 
***
 
本棚にあった「きれいな色とことば」を久しぶりに読んだ。
ああ、私はこんな文章を書きたいんだと思った。気負わない日常の中にある様々な色。
青い空と赤い実と緑の葉と白い雲。黄色い花が薄いピンクの風に吹かれて揺れる。
 
数年前、おかあさんといっしょの中で「いっしょにつくったら」という曲が流れていた。「かたち」だけでは動かなくて「いろ」だけでは誰だかわからない。ある日、「かたち」と「いろ」が出会って、一緒に何かを作ってみたら世界が動き出した。そんな歌だった。
 
私は絵のない文の中に色を出したいのだ。あえて色を書くだけではなく、色づいた文章。
それが私の色であればいい。うまくなくても、私にしか書けなければそれでいい。
 
「のべらっくす」の今回のお題が「緑」だった。私は緑色が好きなので何とか書きたいなぁと思っていたけれど、体調が芳しくなかったのもあり、とてもじゃないけど「読んで下さい」と言える文章が書けそうになかった。残念だけど、あまりにもひどいモノを書きたくないし、出したくない。日記はだらだら書いても日記だから良いけどさ、創作はそうもいかない。
 
そう決めた私のココロに緑の風が舞い込んだ。
濃い緑でも薄い緑でもなく、翡翠色のような風がすぅっと流れていく。
 
大地が揺れてわめきながら、今日も暑かったねと話しかける。
 
本当に暑かったね。そんな5月ももう終わるね。
外でカエルがけろけろお話ししている。
雨の時期はもうすぐそこ。
湿ったにおいはまだ感じられない。
けれど、これは私の鼻が体調不良で効いてないからかも知れないのだ。

 

 

きれいな色とことば (新潮文庫)

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