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バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

通っている美容室が好きだという話

好きだというはなし

髪の毛を切った。

髪の毛を切るたびに、切った!切った!とブログに書きたくなるのはなぜだろうか。

目で見てわかる変化に何か新しいことが始まりそうな気配でもしているのだろうか。

私は私に何を期待しているのだろう。

***

私は今通っている美容室が本当に好きだ。それまではいくつかの美容室を回っていたのだけれど、今の美容室へ行ってからは「ここ以外考えられない!」と思うほど気に入っている。

外観も可愛らしい美容室。ドアを押して中へ一歩入ると、素敵なインテリアが目に入ってくる。特に、照明の形が様々なのが素敵で、いちいち見て回りたくなってしまうほどだ(迷惑なのでしないけど)。お店のお姉さんがにこやかに迎えてくれ、席へ誘導してくれたかと思えば、ほどなくして担当のS兄さんが笑顔でやってくる。Sさんは保育園へ通う男の子のお父さんなので、主にこどもの話をしながら、時々髪型の話をしている。私は昔からあんまり「コレ!」と髪型を決めていかずに、長さだけを伝えると、細かいことは担当の方に任せてしまっている。担当の美容師さんは私をいったいどんな髪型にしてくれるのだろう?ということに興味がわいてしまうのだ。

あの人の目に、私はどんなふうに映っているのだろう?

私が知らない私を見せてくれる、引き出してくれる人たちに「素敵な私にしてください!」と思いながら切ってもらっている。

Sさんが「ココをこうしたいのですが」と話してくれた時、知識のない私は「あ、いい感じになるなら好きに切っちゃってください」と答える。

「大丈夫です。変なふうにはしませんから」

Sさんのその言葉を信じていつも切ってもらっている。

 シャンプーをしてくれるお姉さんもいつも丁寧だ。さらさらとしっとりのどちらが良いか、どんな香りが良いか、などのシャンプーの説明をしてくれたあと、気持ちよく洗ってくれる。横に倒された頭の上の方でシャワーの音がしているのが心地良いと思う。シャンプーが終わると、次は頭皮や首、肩のマッサージをしてくれる。とても気持ちがいい。お礼を言うとお姉さんの赤い唇がにっこり微笑んだ。

お姉さんがSさんを呼んできて一緒にドライヤーで髪の毛を乾かしてくれた。右にはSさん、左にはお姉さん。「私の濡れた髪の毛のために2人のひとが手をかけてくれるなんて!まるでお姫様じゃん!」とか考えていちいち感激していた。相手は仕事なんだから…なんてことは思わずに、私の気持ちさえ良ければそこは特別な場所である。

途中、もう髪の毛を乾かすのはSさんだけでいいんじゃないかな?お姉さんはもういいんじゃないかな?ってちらっと思った。すると、ちょうどそのタイミングでSさんがお姉さんに「ありがとう」と言った。お姉さんは頭をぺこっと下げるとドライヤーを持ったまま離れていった。Sさんのお姉さんに対する「ありがとう」は「もう、ここは大丈夫だから行っていいよ」の意味なんだなって思った。

髪の毛を乾かしたあと、Sさんは仕上げのカットをしてくれた。私は細かく動くはさみをずっと眺めていた。

「前髪どうします?」

Sさんに聞かれた。私はいつも前髪を下しているので、そのまま短くしてもらおうと思っていた。だが、そこでSさんは「斜め前髪にしましょうか?」と提案してきた。

私は「斜め前髪の良いところってなんですか?」と尋ねた。

Sさんはこう答えた。

「こどもっぽくなり過ぎないところと、斜めにすると透け感が出ていいんですよ」

……透け感ですって!

「透け感」は、響きは良いけど、いまいち理解しきれない言葉のひとつだと思っていたので、食い気味に「す、透け感出してください!!」と言ってしまった。

Sさんは笑いながら「変なふうにはしないんで」といつものトーンで言った。

前髪にはさみを入れられるとちょっぴり緊張した。でも、出来上がった前髪はゆるやかな斜めでやりすぎ感はなかったんだ。

一番短いところが眉上で、一番長いところが眉よりちょい下って感じ。あー、けど、ちゃんと斜めだー!って思ったらにやけてきた。

にやけながら、出してもらったアイスコーヒー飲んで、ふぅっと一息ついた。

お会計をすませると、お姉さんがドアを開けてくれた。

「ありがとうございました」「ありがとうございます」

お姉さんの声と私の声がちょうど合わさった。

お姉さんはずっと頭を下げていてくれた。

私の車が動くまで、ずっと。

 

私が手に入れたのは、優しい気持ちと軽やかな髪の毛とはじめての透け感だった。

 

今通っている美容室が本当に好きだ。

だから、また行くのが楽しみだ。