「行きたい!」とずっと思っていた『とほん』へ行った。
おそらく1年以上前から行きたいと思ってはいたけれど、うちから車で100キロ以上ある距離に少々怖気づいて一歩が踏み出せずにいた。
だが、車も新しくなったことだし、陽気も良いし、「こりゃ、行ける!行こう!」と前日に思い立ったのだ。当日は名阪国道を車で駆け抜けた。名阪国道名物、魔のΩカーブは初挑戦だったけど、「あーこりゃ気をつけないと危ないわー」とぶつぶつ言いながら、神経を集中させて乗り越えた。
しばらく進んだその先には、金魚のまち、奈良県大和郡山市があった。
「とほん」さんは6坪の小さなお店だけど、外観を見ただけでどきどきわくわくした。
お店の入り口のところにポストカードの回転ラックが置かれていたのだが、そこでもう足止めをくらった。だって、そこには九ポ堂さんのポストカードがたくさん置いてあったのだ。
九ポ堂さんのことについては以前にもブログで書いているのだが、私の生活圏でお目にかかることはなく、少々寂しく思っていたところだった。
活版印刷のポストカードは相変わらず可愛らしくて、どれを購入するか迷ってしまった。だが、その迷っている時間さえも楽しかった。
店内をきょろきょろしていた時に、九ポ堂さんの商品の中でも私が欲しかった「紙魚栞」を発見し、すぐに手に取った。
この「かわいい」と「きもちわるい」の絶妙なバランスは素敵だと思う。私は虫が好きなので、虫モチーフは惹かれる方なのだけど、栞に「紙魚」は良すぎる。良い。
絶対良い。
カードの回転ラックで九ポ堂さんのカードを発見し、うはうはしていた私だったが、さらにラックをくるっと回したら、ツバメ活版堂さんのカードを発見し、テンションが上がりまくってしまった。
これは「やまとことばカード」という商品で何種類か置いてあった。私は迷いながら、大伴家持の歌と雲雀が描かれているカード選んだ。
うらうらに照れる春日に雲雀あがり 情悲しも独りしおもへば
春の温かさと反比例するような寂しさが好き。
カードに描かれた活版印刷の雲雀の表情もどこか寂しげな雰囲気で良いなって思った。
店内をうろついている時に、とほん特製「金魚しおり」を発見した。
金魚のまち、大和郡山市を訪れたのだから、金魚のものを1つは購入したいと思っていた私にぴったりな金魚ちゃん。金魚しおりは3枚入りで3枚とも金魚と本が描かれている。かわいいの。
ちょ、ちょっとえこさん。
あなたは本屋にきてるのに本をみないの?と思われた方。ここからは本の話をしましょう。
私が次に目をつけたのは文鳥文庫さん。
「文鳥文庫は長くても16ページしかありません」
という言葉が文鳥文庫さんのサイトに書かれているが、その言葉通り、短編を隙間時間にも読めるように蛇腹型の紙1枚で構成されている。
セットでの販売しかしていないところもあるみたいだが、とほんではばら売りしていたので、私が好きな1冊を購入した。
川端康成の「バッタと鈴虫」
誰か緑の灯を私にうつしてくれないだろうか。
今回、とほんで購入したかったものの1つ、とほんさんが創刊されたブックレットホンも忘れることなく購入した。
三重県の小冊子kalasもそうだが、こういった地域に密着した冊子はページをめくるごとにあたたかい空気が流れてくるように感じる。また、行きたいお店が増えてしまった。
購入する際にレジで「この本、年に3回出す予定なんですよ」と仰られたので、「では年に3回は来ます!」と即答してきた。考えるより先に口から言葉が出ることは、興奮状態であるならば、よくあること。
それから、まだ購入していなかった尾形亀之助「美しい街」も手に入れた。
夏葉社の本は美しい。
尾形亀之助の詩も美しい。
とほんにはまだまだ素敵なものがいっぱいあった。小さなお店の中はおもちゃ箱のようで、あっちにもこっちにも手に取りたいものがあって、ぐるぐる何回も回ってしまった。
「きょうはマラカスのひ」がよく見えるところにおいてあったので、私もクネクネさんのように頭の中ではマラカスを鳴らしていたんだ。
また行こう。年に3回は行こう。
***
とほんさんから見えるくらい近くにある、名物「きんぎょ電話ボックス」
きんぎょがのんびり泳いでた。
こちら、K-coffeeの店前にあるのできんぎょを観ながらくつろぐのも良いと思う。
*のんびり*
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名阪国道のΩカーブについて。
「きょうはマラカスのひ」はお気に入り絵本のひとつです。