桜の木に緑の葉が見え始めてから桜の花びらが散っていたことに気づく。心のゆとりのなさはこういった小さな出来事のひとつひとつで気づかされ目の当たりにする。
息子が高校生になるにあたってたくさんの書類提出を求められている。半分ぐらいはすでに提出済みだが、残りは入学式に持参することになっている。見落としはないか何度かチェックしてやっと一息つけた。
3月はただでさえバタバタなのに、息子の誕生日に息子とケーキ屋さんへケーキを買いに行ったら車をぶつけられてしまった。相手の方がとても良い人だったので文句も言えず、心のもやもやはずっともやもやしたまま4月に入る頃まで持ち続けていた。良い人であってもこちらとしては車を修理してもらうべくディーラーへ行く手間が増えてしまったことに変わりはないのでそれぐらいの性格の悪さは持ち合わせてもいいのだろう。私がお世話になっているディーラーはとても雰囲気が良いのでそこでだいぶ心が落ち着いた。事務の女性は「お怪我はありませんでした?」とこちらを気遣ってくれる言葉から話始めてくれ、ささやかな優しさが嬉しかった。
私は車の事故を起こしたことがなく、今回のことは内心だいぶオロオロしていたのだが息子は当事者ではないので、わりと落ち着いていたようだ。車をぶつけられた直後、事故の届け出をするために相手の方と警察署へ行った。私はなにやら大変だぞ?とややテンパりながら書類を書いていたため気づかなかったのだけれど、警察署を出た後「警察署の奥の方からアタック25を見てる音が聞こえたよね」とニヤッとしながら息子が話していた。あぁ、私もアタック25を見てのんびりしたかったと思った。アタック25は谷原章介さんに司会が交代されてから、やたらと「パネル1枚1万円」を前面に出してきている感じに慣れなかったが、なんでも馴染んでいくもので最近は「パネル1枚1万円か!それならみんな1枚は取ろうぜ!!」などと思いながら見ている私がいる。
現在、まだ車は修理中で代車に乗っているのだが、代車に乗った娘が「新幹線のにおいがすると言った。息子にその話をしたら「○○(娘)の鼻はなかなかの性能なのできっと新幹線のにおいなんだろう」と言い、代車に乗って確かめていた。
「うん、やっぱり新幹線のにおいがする」
代車は乗り慣れなくてあんまり気分が上がらなかったけれど、毎日新幹線に乗っている気分を味わえると思えば楽しいかも知れない。
私は今日も新幹線に乗っている気分で車を走らせる。
どこかで「727」の看板でも見られれば完璧だと思いながら。