朝晩は冷え込むようになってきた。毛布に包まれた体の重さを感じつつ、寝返りを打つ際もモソモソと毛布の中で芋虫のように動く。夏であればお腹を冷やさぬようにとタオルケットは使うものの寝返る動きは大振りで大胆だ。
夜の音は夏ほどの賑やかさはなく時々寂しい。周りに人がいるかどうかなどは関係なく心がひんやり寂しくなる。
人生80年と言われてから月日は流れ今や100年とも言われている。私自身、体のいちばん動く時期を過ぎて折り返し地点ではないかと思うことがあるが100年であるならまだ半分にも到達せずこの先の道の長さにぼんやりしてしまう。頑張って歩こう!とか長すぎてつらい…などという感情の前にただ、
ぼんやりしてしまう。
手を広げたときの自分の生命線の短さを笑いながらそんなことを思っている。
静かな夜は本を読むのに適している。
本を読むことはちっとも高尚なことではないのだけれど、少しだけ世界が広がる気がしている。