めそめそ泣いてばかりいたら、奥二重だった目が二重になった。
昔は体調が悪くなると二重になったりしたものだけど、今の私は心の調子が悪いのだろう。
何度も繰り返す「立て直し」にやや疲れてきた。行ったり来たり。出口がどこかわからずにぐるぐる回っているだけの気がして、自分の尻尾を追いかける犬を想像したら少しだけ楽しくなった。
気持ちが上がっていけるかわからなくなった時は、あまり考えずに料理を作り、気持ちを落ち着けることがある。ちょうど地場野菜を安く手に入れたので、いろいろ作ってみた。
もつ煮、きんぴらごぼう、ねぎぬた、ベーコンとブロッコリーのマヨマスタード和え、ロマネスコ!
ロマネスコは高くていつも手が出ないので指をくわえて見てるだけだったけど、この日は見切り品で安くなっていたため即購入。レンジで蒸しただけで美味しい。前日に購入しておいたブロッコリーも蒸したのだけど、それだけじゃ楽しくないので、マヨネーズと粒マスタードで和えてみた。「〇〇さんのねぎ!人気です!」と書かれたポップがついていたねぎは蒸してから酢味噌だれとあわせてねぎぬたに。酢味噌はみりんや酒なども入れて、一度火にかけているので、酢がややまろかになってて良かった。きんぴらにはブロッコリーの茎も入れた。もつ煮は大根が安かったから。この他にごはんとみそ汁。
料理をしているあいだは、工程と味付けを考えることに集中するので、余計なことを考えずにすむ。
ちゃんと食べて十分な睡眠をとる。生活をするうえで欠かせないことだけは忘れてはいけないと思う。
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ソン・ウォンピョン『アーモンド』を読んだ。
惹き込まれて一気に読み終えてしまった。主人公、ユンジェはアレキシサイミア(不感情症)のため、怒りや恐怖、喜怒哀楽の感情がわからない。母はユンジェにそれぞれの感情を丸暗記させるが、歳を重ねるごとに皆の感情が複雑化するためだんだんとついていけなくなる。ある事件が起きたり、その後ゴニという男の子と知り合ったりする中でユンジェにも変化が現れる。
私が持っている感情の1つ1つを思い出しながら、感情のあるいきもので良かったと思えた。
「感情があって良かった」とわかっていても、弱い人間なので時々感情に押しつぶされて「感情がなければいい」と考えてしまうことはある。でも、感情があるから、楽しいこともあるし、喜びも感じられる。
どうにもならない感情と上手くつきあいつつ、楽しいことに目を向けること。簡単なようで難しいけれど、「時間がいちばん優しいですね」と言ってくれた人の言葉を心に留めて日々を過ごしていこうと思う。