観覧車を眺めた。
鉄骨で組まれた隙間をを流れていく風が見えるような気がした。
ひんやりとした風。
ストーブで温まった頬に触れると気持ちよく感じるひんやりとした風。
かき氷を食べたときに口の中を駆け巡るひんやりとした風。
夏の縁日で一本漬けのきゅうりをかじった歯に伝わるひんやりとした風。
木枯らしが吹いて身震いをし、思わず手をポケットにしまったひんやりとした風。
こたつで丸くなって暖まっているときに、キミがこたつへ入ってこようと布団を開けた隙間のひんやりとした風。
暖房のきいたお店を出て車へ向かうのに、思わず小走りしてしまうひんやりとした風。
手が震え、すうっと流れる涙を通り過ぎるひんやりとした風。
笑っている顔と暗い心の間を行ったり来たりするひんやりとした風。
今日もひんやりとした風。
***
キッチンに備え付けのスパイスラックがあるのだが、使用していなかったため、ガチャで取れたモノたちを並べて飾っていた。
ある日、帰宅したら娘が並べ替えていた。
どんなストーリーなんだろう。
トン(猫)がえらそうにしていることだけはわかる。
メタモン……やる気なし。
これは…!
倒れているのはコックカワサキ。
もたねこに驚かされたのか、はたまた殺人事件か?
日々の小さな笑いは至るところに存在していて、私がそこに気づける目を持っているかどうかだけなのだと思う。
狭くなりがちな視野を広げて。
もっと遠くまで見えるようになりたい。