幼稚園には園バスで通っていた。
朝は兄、祖母と一緒にバス乗り場まで向かう。ポンキッキが始まる頃に家を出ていた記憶があるので8時過ぎだったと思われる。バスが到着し、乗り込むとまだ中には数人の子がいるだけであった。私の家はバスルートの最初の方だった。祖母に手を振り元気に園へ向かう。
行きは頭が冴えているので良かったが、私はほぼ確実に帰りのバスの中で眠っていた。寝るのが大好きで寝てれば幸せな子だった。今もそうであるのは変わりがないが、その頃は致命的なことがあった。
とにかく昼寝からの寝起きが悪かったのである。
今でこそ防犯面も考え、バスから降りる際は家族に引き渡していると思うのだが、当時は祖母が忙しいとバス降り場できょうだいだけで降ろされた。家はすぐ近くなので、兄と一緒に2人だけで歩いて帰っていた。
直前に幸せな昼寝から起こされた私は、とにかく機嫌が悪いままバスを降りる。そして泣いて歩かない。最悪だ。
今でも良く覚えているのだが、私が自分で「目覚めた」と思う時にはすでに泣いていた。どうやら泣き始めは夢の中らしい。毎回、気づいたらすでに泣いているので自分でもどうしようもなかった。
兄は泣いて歩かない妹を見て手を引いてなんとか連れて帰ろうとするが、兄だってまだ5、6歳の子どもだ。出来る訳もなく一緒に泣く。たいていこれがオチ。そんな日々を繰り返していた。
それから数年後、この絵本に出会った。
お母さんがおつかいに言っている間、あさえが小さい妹のあやちゃんを面倒をみる。
最初はあやちゃんの気に入ることをしながら楽しく遊んでいたのですが、ふと気づくとあやちゃんがいなくなっていた。あさえは必死にあやちゃんを探す・・・というようなおはなし。
色々と衝撃を受けた。
子どもであるあさえが必死に妹を探す場面はものすごく不安になってこわくてどうしよう?と思った。
私は自分自身がきょうだいの下の立場なので、上の立場がどういった目線で私を見てくれていたかなんて考えたこともなかった。
あさえを見て、あの時の兄はとにかく必死に私の面倒を見てくれてたんだと思い、とても申し訳なく感じた。
出来ることは少ないけれど、兄が困らないように言うことを聞こうと思った。
そんなことを初めて感じさせてくれた絵本。
・・・だけれども、そう思って過ごしていたら兄を甘えさせることになり、妹に頼るようになっちゃったんですけどねー。ここだけは私の失敗でした!(笑)まあ、優しい兄であることがせめてもの救いです。
きょうだいがいらっしゃる方にはぜひ読んで頂きたい。そして読んであげて欲しいです。
今まで見えなかったきょうだいの立場に気づくかも知れません。
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今週のお題で記事を書いたのは初めてです。このお題で私が書かない訳にいかないでしょ!ってことで。
今週のお題特別編「素敵な絵本」