日曜日。お寺で彼岸会が行われたため、その手伝いをすべく、家から徒歩で寺への道を歩いた。
家を出て、ひとつ角を曲がると小さな畑を耕していたお婆さんがおり、いつものように挨拶を交わした。
またしばらく歩くと神社がみえてきた。そこでは神主が箒で境内の掃除をしていた。白装束を身につけ、竹箒を動かしている様を通り過ぎるまでずっと眺めていた。
神社の端では曼珠沙華がポツリと咲いていた。
お寺の方が言うには、この神社の方角から朝、啄木鳥が木をつつく音が聞こえるらしい。
それなりに整備されている神社ではあるが、地味でひっそりとしているので、啄木鳥も居心地が良いのかも知れない。
お寺に着くと、お茶を淹れいるためのお湯を沸かした。それからおはぎの数の確認。秋はぼたもちじゃなく、おはぎなんですよね、と母親の年齢ぐらいであろう方々と話をした。
しばらくすると、彼岸会法要が始まった。
裏方仕事をしながら、頃合いを見て端にある座布団に座った。
文類偈や和讃を一緒に読み上げるのだが、読みやすいように歌を歌うような抑揚がついている。
こちらに来て初めて聞いた時は驚いたが、義父も祖母も見送った今となっては、その抑揚のつけ方もどこか身についてきているようだ。数珠の持ち方、作法、わからぬまでも経験の中での慣れはあるもんだなと思った。
説法まで含めて全てが終わった時には、お寺に来てから3時間以上が経過していた。寺役のおじさま方と供え物のお餅や果物を下げて、掃除をする。その後、皆でお茶を飲みながらしばらく談笑。私以外は皆、親と同じぐらいの年齢の方々だが、話を聞くのは嫌いではない。世代を越えると考え方や物の捉え方が違うので、気づくこともあるもんだ。
「隣組は好きでやってないよ。面倒だよ。だけどさ、なんだかんだ1人では生きていけないでしょう。『遠くの親戚より近くの他人』って言うでしょ。やっぱりさ、最低限の付き合いは必要だよ」
って話を熱弁しているおじさまを眺めながら、ずずっとお茶をすすった。
***
今日。
息子は祖母と出かけたので、私は娘と公園へ行った。
公園のベンチでお昼ご飯を食べると、娘は遊具めがけて一目散に走って行った。
私は公園のすぐ横を通り過ぎる電車を眺めたり、空を見上げたり、工場の煙突から出てくる煙の流れていく様を目で追ったりしていた。
風がゆるく頬を撫で、木漏れ日はすっかり秋を感じさせる柔らかさだった。
「あっちに噴水があるから行こうよ!」
娘に言われて、一緒に噴水へ向かい歩いて行く。
噴水はこじんまりとした可愛いものであったが、近くに行くと、水しぶきがあたり気持ちが良かった。
「あ、どんぐり!」
娘がアスファルトの上に落ちていたどんぐりを拾い上げる。
よく見たらあちこちにどんぐりが転がっていた。
すぐそばにあった木を見上げると、たくさんのどんぐりが「まだ落ちませんよー」と言いながらしがみついている様が確認出来た。
台風が近づいたら落ちちゃうかな?でも、もうしばらくしがみついててね。
帰宅途中、車を運転している時になんだか涙が浮かんできた。
あれ?どうしたんだろう?
秋だからってセンチメンタルになったかしら?
そう思っていた私の耳に飛び込んできた娘の言葉。
「お母さん、あそこ、煙が上がってるよ!目が痛いね!!」
……。
田舎では良くある風景。
野焼きでした。。
そりゃ、目もショボショボするってば!
今週のお題「秋の気配」
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