バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

壊れたオルゴールに君をのせて

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4月に中学生となった息子だが、彼は小学校最後の図工の作品としてオルゴールを製作した。

正確にはオルゴールケースを製作したが正しい。オルゴール木箱を製作するキットが学校教材にあるようで、釘を打ち、色を塗って自分好みのオルゴールケースを製作した。肝心のオルゴールは確か500円程度の集金があり、手元に来たのがこちらである。

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真っ黒のシンプルなタイプ。ゼンマイを回して音を奏でるオーソドックスなオルゴールである。黒いボタンはオルゴールケースに収めた際、蓋をするとボタンが押され音が止まり、開けると音が流れる仕組みとなっている。

オルゴールの曲を選ぶのに息子はだいぶ悩んだ。ドラゴンクエスト、星に願いを、その他知らない曲は曲名を頼りにYouTubeで調べたりもした。

そして選んだのが「君をのせて」であった。天空の城ラピュタのあの曲である。

自分が製作したオルゴールケースにオルゴールを入れ、蓋を開け閉めしながら、流れる「君をのせて」を何度も聴いていた。しばしば途切れ途切れになる音楽は、開閉して楽しんでいるのであろうことを私に知らせた。

1ヶ月ぐらい経った頃であろうか。「オルゴールが鳴らなくなった」と息子が言った。悲しそうな表情をした息子を前にオルゴールを手にしたものの、どうして鳴らないのか私にはわからなった。学校教材だし、鳴らなくなったらそれまでかな…と思った私に「何か方法はないかなぁ」とどうしても直したい様子の息子。

しばらく2人で考えた。

「そうだ。月に1度ぐらいやっている『おもちゃ病院』へ持って行こう」と意見がまとまった。

『おもちゃ病院』は月に1度図書館やショッピングセンターの広場にて、基本無償でおもちゃを修理するボランティア団体である。

話し合いをしてから1番最初の『おもちゃ病院』が開かれる日。私達は鳴らなくなったオルゴールを手に『おもちゃ病院』を訪れた。対応して下さったのは、にこにこ笑顔のおじさん達。和気藹々とした雰囲気の中で「何処が壊れたの?これって何のおもちゃ?」とオルゴールを診察していく。「学校教材のオルゴールで…」私達が知っている限りの情報をおじさん達に伝えていく。

「そうか。これは学校教材なのか。どうかなぁ。ちょっと診てみるよ。で、これって何の音楽が流れるの?」

「『君をのせて』です。天空の城ラピュタの曲ですよ」

私の答えに首をひねるおじさん達。ふふっと笑ってしまった。

「買い物でもして、しばらくしてから1度寄ってよ」

私達は、ショッピングセンターをぶらぶらし、再度おもちゃ病院を訪ねた。

オルゴールはなかなか重傷なようで「今日は治らないから預かりますね。次回、また来てくれる?」と言われた。私はなんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。

そして訪れたこどもの日。

私達は『おもちゃ病院』を訪ねた。私達を見たおじさんはオルゴール片手に処置方法と診断結果を話してくれた。原因はおそらく間違ってゼンマイを逆に回したからのようだ。曲が流れるように治せたものの、度々ガバナー部分が引っかかるので、引っかかったら爪楊枝などでチョイっと外してねと優しく教えてくれた。

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それから、このような説明写真も用意してくれたので頂いてきた。

学校教材のオルゴールにここまで丁寧に対応してもらい、私と息子は感謝の気持ちでいっぱいになった。

「ありがとうございます」

お礼を言うと、

「また何かあれば持ってきてよ」

おじさん達は笑顔でそう仰った。

 

帰宅後。

私はすぐに夕飯を作り始めた。

夕飯を作り終えると、2階にいる息子を呼びに階段下まで行った。

すると、息子の部屋からゆっくりと、けれどはっきりとした音で『君をのせて』が聞こえてきた。

 

地球は回る 君をのせて

いつかきっと出会う ぼくらをのせて

 

流れるオルゴール音に合わせて歌を口ずさんだ。

 

口ずさみながら、私は息子にまた新しい出会いがあることを願ったのだ。

 

 

天空の城ラピュタ - 君をのせて(800人合唱ver) - YouTube