夕空の下。
畑から帰ってくるご婦人が、押し車をおしながら歩いてくる音がする。舗装された道路ではあるが、整備が行き届いていないため、押し車が通るとガタガタ音が辺りに響き渡る。押し車は籐で編まれており、昔の乳母車のようだ。あの中に採れたての野菜と農機具を乗せ、身を預けながらゆっくりと進んでいるのだ。腰が曲がった様は長い間、農作業を繰り返して来た証しなのだろう。
畑の横を通るとき、話しかけられて野菜をもらうことがある。
「置いといても食べきらんで、持ってって」
笑顔で私の前に野菜をぐいっと差し出し、「おばあさんに世話になったでな」と言われたりもする。
皆、年老いてひとり、またひとりと姿を消していく。
畑の横に腰掛けながら談笑する姿を微笑ましく眺めていたが、それもいつまで続くかわからないのだろう。
うちにも畑があり、夫の祖母が亡くなった後は義母が野菜を作っている。今、うちの冷蔵庫に入っている、とうもろこし、トマト、なす、ピーマン、ししとう、きゅうり、にんじんはうちの畑で採れたものだ。それから義母が大葉も摘んで持って来てくれた。
野菜が豊富にあると料理をするのが楽しくなる。
明日は何を作ろうかな?
「美味しくものが食べられるってなんて幸せなんだろう」
とうもろこしにかじりついている娘を見ながらふと思ったんだ。
久しぶりにこれを見たけど、可愛くてグロくてやっぱり良いなって思った。