今年もだんだん終わりに近づいて来ましたね。
さて、私は絵本が好きなので、昨年同様「私が今年購入した絵本(今年発売したものに限る)」を書いてみました。購入した絵本以外に、関連するもの、または面白かったものもいくつか紹介しています。
気になる本があれば嬉しいなぁと思いますし、それ以外に絵本の魅力に気づいて頂ければ幸いです。
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『おしりたんてい ププッおおどろぼうあらわる!』
『おしりたんてい むらさきふじんの あんごうじけん』
こども達に大人気のおしりたんていシリーズから今年は2冊発売されました。
おおどろぼう~の方は従来通りの絵本仕様で、むらさきふじん~は児童書仕様となっています。ストーリーの中に、迷路や絵探し、謎解きの要素が組み込まれており、遊びながら本を読むことができます。顔がおしりになっているおしりたんていにインパクトにのまれ、ハマってしまう子も多くいるようです。
おおどろぼう~には、ページいっぱいの人々にうんちマスクをかぶせられる場面があるので、ぜひ見てほしいです。文章にはただ「マスクをかぶせられた」とだけあるんですけど、絵を見れば「あぁぁぁぁぁっ、うんち!」って叫んでしまうのは間違いないでしょう!

おしりたんてい むらさきふじんの あんごうじけん (おしりたんていファイル)
- 作者: トロル
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2015/08/06
- メディア: 単行本
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『ハリーとうたうおとなりさん』
「どろんこハリー」をこどもの頃に読まれた方も多いのではないかと思いますが、こちらはハリーの童話となっています。童話といっても挿絵が多いので、読んであげるなら幼児でも問題ないかと思います。
『ハリーとうたうおとなりさん』はハリーが住んでいる家のおとなりさんが、高くて大きな声で歌を歌うんですけど、ハリーはそれが不満で、なんとかして歌を歌うのをやめさせようと奮闘するお話です。ハリーが様々な手を尽くしてもなかなか歌を止めてはもらえませんでしたが、最後は一件落着。幸せそうに眠るハリーが可愛いです。
「どろんこハリー」シリーズは、福音館書店よりわたなべしげおさんの翻訳で、今までに3冊出版されていますが、こちらの『ハリーとうたうおとなりさん』は大日本図書より小宮由さんの翻訳となっています。このあたりの違いを比べてみるのは面白いかも知れません。また、小宮由さんはこの本を「こころのほんばこ」シリーズの1冊と位置づけ、こちらを含めて5冊を良質の幼年童話として翻訳、出版される予定らしいです。こちらもまた、楽しみです。

- 作者: ジーンジオン,マーガレット・ブロイグレアム,Gene Zion,Margaret Bloy Graham,小宮由
- 出版社/メーカー: 大日本図書
- 発売日: 2015/11
- メディア: 単行本
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『へんなおでん』
本屋さんで見かけ、少し読んだだけで、これは面白い!と思い、購入した絵本です。
ページが上、中、下の3段に分かれており、それぞれパラパラめくれる仕様になっているので、自分好みのおでんがカスタマイズできます。ぜひ、チビ太のおでんに負けない組み合わせを考えだして下さい!
『りゆうがあります』
『ふまんがあります』
こどもがこんなことをするのは、りゆうがあるんです。
おとなのこんなところはズルくてふまんです。
どちらの言い分もわかりますし、返答にユーモアがあるため、思わず笑ってしまいます。自分の普段の行動を省みつつ、こんな質問ばかりだと苦しいです・・っ!と言いたくなってしまいました。
『もうぬげない』
Twitterで話題となった絵本『もう ぬげない』
服がとにかくぬげない絵本です。
ヨシタケシンスケさんは先ほど紹介した『りゆうがあります』『ふまんがあります』も今年出版されているので、この人からはまだまだ面白い表現をする引き出しがいくつもあるんだろうなぁと思ってしまいました。
以前に書きました、こちらの記事で、より詳しく触れています。
『こんな こえが きこえてきました』
かがくのとも6月号『こんな こえが きこえてきました』は読んで感心してしまった絵本です。
とある交差点の風景のみが出てくる絵本なのですが、交差点では様々な人がすれ違い、それぞれの会話、生活をしていることが鮮明に浮き出ています。
また、人ごみの中で、自分に必要な情報を敏感に感じ取る「カクテルパーティー効果」がこどもでも理解できるように表現されていました。
それと、今年のこどものとも9月号の『はかせのふしぎなプール』(中村至男)も良かったです。これは食べ物や道具をプールに沈め、一部分だけ水面から見えるようにしてあり、そこから沈めているものが何かを当てていく絵本です。ヒトは今までの生活の中で見たことのあるものならば、一部分しか見えなくても想像し、当てることができるのです。視覚体験というものが、いかに大事なものであるかがわかると同時に、ヒトの脳というのは素晴らしいと気づき、ハッとさせられました。
『とうふこぞう』
京極夏彦の妖怪絵本シリーズの1冊です。とうふこぞうが愛らしく、まったく怖くないのが気に入って購入しました。石黒亜矢子さんの絵もユーモラスで良いのです。
ここ最近は、妖怪や怪談絵本が多く出版されているような気がします。
こちらの『とうふこぞう』は怖くない妖怪でしたが、じわじわ恐怖を感じていいなぁと思ったのは、『くうきにんげん』です。牧野千穂さんの絵は可愛らしいのですが、綾辻行人さんが紡ぐ言葉がなんだか怖くて後を引きました。

京極夏彦の妖怪えほん (4) とうふこぞう (京極夏彦の妖怪えほん4)
- 作者: 京極夏彦,東雅夫,石黒亜矢子
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 2015/03/02
- メディア: 大型本
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『ほしじいたけ ほしばあたけ』
これは面白い絵本です。この言葉に尽きます。
きのこむらにいろんなきのこが住んでいるので、それを見るのも面白いですし、何よりこの絵本において、ほしじいたけが生しいたけではなく、干ししいたけでなければならない理由が読み進めるうちに明かされていくのです。
石川基子さんは新人作家さんのようですので、これからの作品にも期待したいと思います。
『そらまめくんのあたらしいベッド』
そらまめくんシリーズの最新作です。そらまめくん自慢のふわふわベッドがぺちゃんこベッドになってしまったので、そらまめくんは「わたのき」を探しに出かけます。そらまめくんは知らない地で、新しいお友達と出会ったり、「わたのき」が成長し、わたが採れるまで見届けたりして過ごします。
そらまめくんシリーズの新作は9年ぶりとのことで、それと同じぐらいそらまめくん自身も歳月を積み重ねて成長したような気がしました。
『よるのかえりみち』
静かな夜の風景が描かれており、華やかさはありませんが、優しい空気と居心地の良さが伝わってくるような絵本です。暗闇の中で、灯る明かりを見つけたときに、ほっとするのはなぜなのでしょう。明かりの中ではそれぞれがそれぞれに暮らしているのです。
個人的には夜に読むことをお勧めします。眠りに誘われますよ。
『プレゼント、あけてみて!』
みんなで順番にプレゼント交換をしていくお話で、主にそのプレゼントをめくっていくような仕掛けとなっています。ストーリーはシンプルながら、おおでさんの可愛らしいイラストとめくるしかけがページによって上下左右いろんな方向へめくるようになっているのが楽しいです。ただ、めくる方向がばらばらなので、小さいお子さんですと、しかけを壊してしまう可能性が高いような気もしました。こどもにもよりますが、4.5才ぐらいからが良いような気がします。それぐらいになると、しかけのめくる方向を考えるのもひとつの楽しみになるのではないでしょうか。
可愛らしいのでプレゼントに向いてますね☆
『ボタンちゃん』
帯にあるように小川洋子さん初の絵本です。
主役はアンナちゃんのブラウスについているいちばん上のボタン。ある日、ボタンちゃんの糸が切れ、ボタンちゃんは部屋の床を転がっていきます。おもちゃ箱のうらがわ、タンスのうら、ベッドのした・・転がったボタンちゃんはいろんなモノと出会います。
こどもの成長のうらで活躍してくれたモノ達との出会いに、私はこども達がもっと幼かった頃を思い出さずにはいられませんでした。あたたかくやさしいお話です。岡田千晶さんの絵も素敵でした。
『チャーちゃん』
「ぼく、チャーちゃん。はっきり言って、いま死んでます」というなかなか刺激的な一文で始まるお話です。
生死がテーマではありますが、私が今までに読んだ生死を題材にした絵本とは少し毛色が違いました。死の先にいるチャーちゃんが、あまりにも楽しそうに可愛らしく描かれており、もしも私がチャーちゃんの飼い主であったのなら、ほんの少し救われるのではないかと思えました。
生きとし生けるもの。いつかは必ず死んでしまう。それをチャーちゃんが当たり前のように受け入れ、振舞っているのです。
生死の絵本だと、今年、出版され、大人気となっている、お母さんがおばけになる絵本がありますが、個人的にはこちらをおすすめしたいです。
多くはない文章からなにかを感じとってもらいたいのです。
『さかさまさかさ』
日本や西洋画でも昔からある、上下どちらにしても絵がみえてくる絵本です。
19世紀アメリカの「イラストレーション黄金時代」を支えた不世出の天才ピーター・ニューエルが贈る、31のさかさま話が初邦訳!
翻訳された文章の言い回しが難しいところもあるので、小さい子だと文の意味がわからないと思います。ですが、こういうのって、絵をくるくる回して「ああ、ここがこう見えてたのか!」と気づくのが面白いので、絵だけ眺めても十分楽しめますよ。
イラストとしての観点でも優れていると感じるので、大人が読んでも楽しいと思います。
『サンタクロースになるひ』
前作、『ようちえんの おひめさま』が昨年のMOE絵本屋さん大賞8位に入っていた穂村有希子さんのクリスマス向け絵本です。
サンタクロースになりたかっためいくんが、サンタさんにお願いして、お手伝いをさせてもらうお話です。すべてがスムーズにいくわけもなく、めいくんは失敗もしてしまいますが、最終的にはとっても楽しいお話でした。穂村有希子さんの色がはっきりしているのに優しいタッチの絵も良かったです。
以前にもサンタクロースになった男の子の話を読んだことあるなぁと思っていたら、『さいこうのおくりもの』という絵本でした。この絵本はサンタクロースがいると信じる心と友達のやさしさに触れている素敵な絵本です。出版社がひくまの出版(2014年4月、倒産しました)なので絶版のようですが、中古品があるようなので興味のある方は読んでみて下さい。
また、写真絵本ですが、『サンタクロースのおてつだい』は女の子がサンタさんの手伝いをします。写真が美しいのでこちらもおすすめです。

さいこうのおくりもの (ひくまの出版幼年絵本シリーズ・あおいうみ 18)
- 作者: 立原えりか,黒井健
- 出版社/メーカー: ひくまの出版
- 発売日: 1984/11
- メディア: 単行本
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- 作者: ロリエベルト,ペールブライハーゲン,Lori Evert,Per Breiehagen,なかがわちひろ
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2014/10/21
- メディア: 大型本
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『岸辺のヤービ』
絵本ではなく児童書なのですが、今後、シリーズとして人気が出るのは間違いないと思えるほど素敵な本です。
とにかく、梨木香歩さんの表現が美しく、ヤービが愛らしいのです。
以前に紹介しておりますので詳しくはこちらをご覧ください。
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これ以外に購入した絵本もありますし、購入していないけれど、面白かった絵本もあります。(鈴木のりたけさんの「ケチャップマン」はシュールで面白いです!)
私が購入する絵本は、全体的に国内絵本に寄ってしまうので、最後に今年出版された海外絵本で気に入ったものを並べてみました。絵本は実際に開いてみないと、絵の美しさや文章のリズムがわからないので、いろんな絵本を開いて探してみて下さい☆
何といっても絵が緻密で眺めてみるだけでもため息が出ます。ストーリーもしっかりしてますが、少々難しいので小学校中学年以上向けだと思います。
タイトルどおり、サムとデイブが穴を掘っていく話です。土の中には宝物がたくさん埋まっているのに、なぜかよけて穴を掘ってしまう2人に「あー、そっちじゃない!」と叫んでしまうことでしょう。ラストもあら?あれ?なんとも不思議で楽しい絵本です。
ストーリーは「しずくのぼうけん」のような感じですが、もう少し落ち着いた美しさで、水の循環が描かれています。
派手さはないですけど、素敵な絵本です。
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