現在、四日市市立博物館で開催されている『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』展へ行ってきた。
エドワード・ゴーリーといえば、残酷で不穏な絵本が多いイメージであり、実際そうなのだが、それぞれの絵を眺めていると表面では語られない奥深さがあるように感じられた。
ゴーリーの代表作『ギャシュリークラムのちびっ子たち』はA~Zの頭文字がついたこども達が次々と殺されていく。韻を踏む軽快な文章であるのに「不穏」の2文字がずっとついて回る。ゴーリーは何を伝えるためにこの絵本を描いたのか。どう解釈すればいいのかわからなくなる自分がまた怖いと感じるループ。そういった部分もゴーリーの魅力である惹き付けられるのだ。
絵をひとつひとつ眺めながら、解説を読み、ふむふむ納得しているところへくる「そのあと殺されました」の文字はインパクト大ではあるけれど、ゴーリーの描く可愛らしいキャラクターがいくつもあって、「あれ?ゴーリーってけっこうかわいいとこあるのかも?」と新たな一面を見たような気がした。度々、ご本人も絵の中へ登場しているし、けっこう茶目っ気ある人なのではなかろうか。
細かい線でたくさん描かれたモノトーンの作品は、間近で見ると緻密さに驚かされた。デザイン的に優れた作品も多く、ミュージカルのポスターを手掛けたりしたのも頷ける。
今までゴーリーの作品をいくつか読んだことはあったけれど、翻訳されていない作品の展示もあったのでさらに興味を持った。
そういえばゴーリーは大の猫好きだったらしい。 ゴーリーの作品で犠牲になるのはたいていこどもで、決して犠牲にならないのは猫であることからもそのことが伺える。
『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』展は世界各国を巡回し、ついに日本での開催となった展覧会である。さらに、ゴーリーの愛好家として数々の作品を収集されている濱中利信氏のコレクションを加え(濱中コレクションの多さにも驚かされます!)時間が足りないくらい見ごたえのあるものになっていた。
四日市のあとは栃木、島根、福井で開催予定なので、時間のある方は足を運んでみると良いんじゃないかと思った。
ついつい購入してしまった『子供部屋の壁模様』のマスキングテープ。
カバモチーフらしいのだけど、かわいい。
こういう表情の動物に私は弱いのだ。
![エドワード・ゴーリーの優雅な秘密: 展覧会公式図録 エドワード・ゴーリーの優雅な秘密: 展覧会公式図録](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41ZA8ERjppL._SL160_.jpg)
- 作者: カレンウィルキン,濱中利信,柴田勢津子,Karen Wilkin,柴田元幸,小山太一
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2016/04/15
- メディア: 大型本
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