刈谷市美術館で開催されている「描かれた大正モダン・キッズ 婦人之友社『子供之友』原画展」へ行ってきました。
https://www.city.kariya.lg.jp/museum/exhibition/schedule/H29kodomotonoto.html
『子供之友』は婦人之友社から1914年に創刊され、大正から戦中の子どもたちに愛読されました。童話、伝記読物、漫画など多彩な内容で、北澤楽天、竹久夢二、武井武雄らの魅力的な作品が毎号誌面を飾りました。モダニズムの時代に花開いた幼年絵雑誌の軌跡を、原画150余点や同時代の雑誌などで辿り、その芸術性を紹介します。
「子供之友」に惹かれたというより、武井武雄の原画が見たいなと思い、足を運んだのですが、これが思った以上の展覧会で、見終わってから「良かったー、良かったー!」を連呼することになりました。
全体を通して感じたのは、100年くらい前の絵であるのに、斬新で新しい雰囲気のものがいくつもあったことと、当時の時代背景を色濃く出した絵のバランス、それから仕掛けになったページ等、雑誌としてこどもの興味を惹くように工夫されて作られていることでした。
モダンって言葉がぴったりすぎて、口をぽかーんと開けながら眺めていたんですけど、点数も多くて見ごたえ十分だし、刈谷っていう場所柄なのかとっても空いていて、自分のペースで見られたのも満足でした。
「子供之友」で創刊時からずっと続いた人気のお話があり、登場人物が「上太郎・中太郎・下太郎」の三兄弟と「甲子・乙子・丙子」の三姉妹なのですが、これがわかりやすくて面白かったです。数年で描く人が交代する日ペンの美子ちゃんのようなスタイルで、上太郎・甲子ペアは良い子、中太郎・乙子ペアは普通の子、下太郎・丙子ペアは悪い子なのです。そうです、欽ドン!なのです。単純にくすって笑えて、今の時代でも十分通用すると思いました。
この時代の雑誌でも読者の感想投稿ページや懸賞もあるのですが、読者の感想に「上太郎さんのようになりたいです」「上太郎さんを見習いたいです」がとっても多くて、どんだけ上太郎さん人気なのよ!!っていらぬ嫉妬をするところでした。読者の感想はたいてい、編集や先生方の体を気遣う言葉から始まっているのが優しさで溢れていて興味深かったです。
さて、具体的にどういった絵が並んでいたのか気になるところだと思いますので、私が購入したポストカードをいくつか並べてみます。
北澤楽天「ねこの子の行水」1914年
この展覧会で一番驚かされ、好きになってしまったのが北澤楽天です。
この方、すごいんですよ。動物や植物、虫などの絵も細かく描けるし、時代に合わせた絵も描けるのです。他の方は何点か作品をみていくと、ああ、誰っぽいなってわかってくるのですが、北澤楽天は描ける幅が広すぎてわからない時があったぐらいでした。
とにかくすごい。そして絵が可愛らしくて好きでした。
岡本帰一「ほたるのお客さん」1924年
岡本帰一の絵の展示はそんなに多くなかったと記憶しているのですが、きのこ好きとしてはこの絵は見過ごせませんでした。
きのこにぶらさがった飾り(灯り?)がかわいい。
武井武雄「金魚の学校」1926年
武井武雄はどこかユーモラスな絵が多いので、以前より大好きなのです。
いつかイルフ童画館にも行きたいです。
武井武雄「赤ノッポ青ノッポ」の一筆箋が可愛くて購入しました。表紙もかわいいんですけど、中に描かれた赤ノッポ青ノッポが可愛すぎるのです!
ほら!!とんでもなくかわいい!なに、このポーズ!!(興奮しすぎ)
あと、ポストカードは購入しませんでしたが、「子供之友」でこの人を忘れてはいけません。
村山知義です。
ドイツに留学された経験があることも関係するのかわかりませんが、一番現在でも通じるモダンな絵を描かれていたような気がします。色使いも綺麗だし、絵の構成も面白かったです。
「しんせつなともだち」何回も読んでいるのに、村山知義と結びつかなかった私の頬をぺちぺちしてやりたい。この絵本、ロングセラーであり、素敵なお話です。
「描かれた大正モダン・キッズ 婦人之友社『子供之友』原画展」は絵を細かく見ていくもよし、時代背景を感じるもよしの素敵な展覧会ですのでお近くの方は行ってみると良いんじゃないかなと思います。
あー、見られて良かった。楽しかった!
武井武雄のイソップものがたり、購入するか迷って見送ったけど、やっぱり欲しいな☆