テレビで芸人さんが「自分は好きな人の顔が思い出せない」って話をしていて、言われてみれば私も思い出せないなぁと思った。
その番組ではもう一人の芸人さんが自分もそれに当てはまるのだけれど、どうしてなのかが読んだ本に書いてあったんだと説明し始めた。好きな相手というのは、その人の色んな表情、または様々な角度の顔が好きなため、記憶としてひとつに絞り込めないらしい。言われてみれば、そういうものなのかもしれない。
相手の顔が思い出せないのに、いざ会ってみると「ああ、やっぱり好きだな」と再確認するってなんだか不思議だけれど、再確認するために「また会いたい」と思えるならそれはそれで素敵なことのようにも思う。
少しずつ、冬の気配がしている。閉め切った窓の外から聞こえてくる車のエンジン音が夏より鮮明なのは明白であり、私はややさびしい気持ちになったりする。
メランとコリーは近づいてくるなと思うけれど、メランとコリーを従えるぐらいに私は強く優しくありたい。
けっしておごらずに。
足元を踏み固めて歩きたいのだ。