日曜日は娘の誕生日だった。
映画を観たいと言われていたので一緒に「天気の子」を観に行った。ポップコーンを食べて映画を観るのが楽しみだという娘にポップコーンと飲み物を買い、両手に抱えながら席についた。
ほどなくして、ポップコーンと飲み物を持った中学生くらいの女の子達が同じ列に入って来て「すみません」と私たちの前を通ろうとした。だが、女の子はポップコーン以外にも多くの荷物を抱えていたため、「それ、持ちましょうか」と声をかけてポップコーンなどを持ってあげた。荷物が軽くなった女の子が無事に席についたのを確認してから「はい」と渡すと「良い人が隣の席で良かったです!」と言われた。なんでもないやりとりが妙に嬉しかった。
映画「天気の子」は映像が美しかった。以前にみた「君の名は。」とリンクするところなどもありとても楽しかった。けれど私は同時に少し寂しかった。
エンドロールまで見続けて、館内が明るくなった時「あー、面白かった」と発した娘の言葉で我にかえった。「今までももっと映画が見たいと思っていたの」と興奮気味に話す娘に「また来ようね。いつでも来られるもんね」と声をかけた。
帰りに昔からあるようなケーキ屋さんでケーキを買った。「昔からあるような」としたのは、いったいいつからあるのかわからないからだ。
団地の横にある小さなケーキ屋さん。
大通りに面しておらず、周りに商店もなくぽつんと建っていて、たばこも売っているようなケーキ屋さん。
おそらく高度経済成長期に団地とともに歩んできたであろうケーキ屋さん。
私達はそのケーキ屋さんの素朴なケーキが好きでよく買っている。
好きなケーキをゆっくり選び、箱に入れてもらってからお店を出た。
「お母さんはなんであのお店を知ったの?」
娘に問われて、あれ、なんだったかなとしばらく考えて思い出した。
私がこのケーキ屋さんを知ったのは、娘があんまりスポンジケーキが得意ではなかったため、美味しそうなプリンアラモードがあるお店を探していたからだった。私が住んでいるところで一番人気のあるケーキ屋さんは綺麗で美味しそうなケーキがたくさんあったけれど、プリンアラモードはなかったのだ。
そのことを話すと娘は嬉しそうに笑った。
夕飯は娘の好きなものを作ってケーキも食べた。
笑って。
美味しいもの食べて。
こどもの誕生日を祝うことは幸せなことだと思った。