車で信号待ちをしているとき、風に吹かれてステッキみたいに曲がっているねこじゃらしを見ていた。エアコンのきいた車内で眺めているぶんには涼しそうに見えたが、外はうだるように暑いのだとわかるくらい空も田んぼも鮮やかな色をしていた。
色と色が混ざり合わない時ほど確かな暑さが存在していると思う。
最近、暑いのもあって私と息子と娘はエアコンのきいたリビングでだらりとしながら夕食後の時間を過ごしている。私は本を読んだりネットの海にじゃぶんと飛び込んでいる。息子はパソコンで動画編集をしたりアイスを食べている。娘はダメになるソファの上でころころしながらゲームをやっている。ふと、三者三様の過ごし方をしながら同じ部屋にいることってとても幸せなことなのではないかと思った。お互いの存在が心地よいのだと感じられる空気がそこには流れていて、時折誰かの発した言葉に反応して笑いあう。ただそれだけのことがどれほど尊いものであるか、考えずにはいられなかった。