名古屋のON READINGで開催されている彦坂木版工房の展示会へ行った。彦坂木版工房といえば絵本「パン どうぞ」など、表紙を見るだけでよだれが出そうなほど、美味しそうでリアルな木版が人気のふたりぐみだ。
木版の美しさに絵本を近づけたり、斜めに見たりした人も多いのではないだろうか。
(私はやりました!)
今回は作品集「旬」の発売記念だったのだが、壁に飾られたいくつもの木版がそれは、もう、美味しそうで!お腹が鳴るって!静かなのに!止めてくれ!困っちゃう!気持ちを抑えられなくてずっとにやにやしながら眺めたのだ。
この「旬」は彦坂木版工房が担当したJA兵庫六甲の広報誌「Wave Rokko」の表紙をまとめたものになる。私は娘と観に行ったのだが、ちょうど私たちしかいない時間があり、在廊していた彦坂木版工房のもりといずみさんに色んなお話を聞くことが出来た。この「Wave Rokko」は月1回発行のため、毎月作品を作らなければいけなかったそうだ。「大変じゃないですか!」と尋ねてみたら、「大変でしたけど、毎月表紙になる予定の食材が家に送られて来るんです。それが楽しみで!」もりとさんは笑いながら話されていた。作品集を見るとわかるのだが、あまり見かけない野菜も登場する。「うど」は真っ白いうどを想像するが、赤みを帯びたうどであったり、「山の芋」という石ころみたいなゴツゴツした芋も載っている。この山の芋、「石っぽくならないように気をつけてほしい」と担当者に言われたが、とても難しく試行錯誤を繰り返したと話された。話している時のもりとさんが苦しそうだったので、さぞ大変だったことだろう。
そしてこの作品集いちばんの目玉は「神戸牛」である。霜降りの木版が素晴らしいのだ。
「神戸牛は良かったですね!嬉しかった!美味しかった!また食べたいです!」
そう話されるもりとさんは素直な人であると思った。娘が最初に反応したのもこの神戸牛だった。「にくにくしい!」と一言だけ発した娘に笑ってしまった。
眺める木版がどれも美しかったので作品集を購入することにしたら、もりとさんがサインを入れて下さることになった。
「大人っぽいサインとパンも一緒に描いたサイン、どっちが良いですか?」
問われた私たちは迷わず「パンも一緒で!!」と答えた。
描いてもらったクリームパン。私たちに描いてもらった感が出ていて嬉しい。
サインを描いてもらっているときに、iPadで木版を作る映像を見せてもらった。彦坂有紀さんが木版を紙に摺る作業をしていたが、この作業はとても腰にくるらしく女性でやられている人は少ないと仰っていた。
食パンを摺るときには、わざと紙を濡らして食パンのみずみずしさを表現し、ハードなパンは乾いた紙を使うことなど興味深いお話を直接お聞きすることができ、とても楽しいひとときを過ごすことができた。
鼻歌をうたってしまうほど嬉しかったな!
展示会は9月23日までです。
よろしかったら足を運んでみて下さいね。