昨夜はあまり眠れなかった。なにか多くのことを考えていた気がする。「気がする」のはたいして内容を覚えていないからだ。それならぐっすり眠れたら良いのに上手くいかないものだ。
ひとつ覚えているのは「呼吸」について考えていた。暑い日に呼吸が苦しくなる。本当は荒れた心なのに、それを抑えようとして呼吸が苦しくなる。苦しくなるからたくさんの酸素を吸おうとする。
酸素を吸おうとするなんて、生きようとしていると同義だなとか思って、私はなんだかんだ言って生きたいのだろうと俯瞰した目で眺めていた。
今日、娘を塾へ送って行ったあと、海が見たくなった。そういえば、海が見える公園があったなと思いだし、車を走らせた。車を降りると波の音がした。人の顔が識別しづらくなるくらい暗くなってきていたが、まだ公園で遊んでいる子がいた。遊具で遊んでいた小学生と思われる子達はそろそろ帰ろうとしていた。広場で遊んでいた中学生はまだ帰りたくなさそうだった。私は見晴らしの良い場所に向かって歩いた。ベタついた風を肌で受けながら階段をかけ上がる。気持ちが良かった。海は思っていたより波が高かった。遠くに灯りが見えた。住宅地の灯りも目立ち始め、顔の知らない生活している人達を感じる。
あの屋根の下が居心地の良い場所でありますように。
中学生は自転車で追いかけっこを始めていた。
もう終わりが近づいているのだろう。帰りたくない。
それでも帰る場所があることは恵まれていることよって私は心の中で呟いた。