6月。
不安定な5月を生き延びた先の6月はどんな日が待っているのかと期待したが、昨夜はあまり眠れず、今日も穏やかになれなかった。
月初の忙しさに加え、横から仕事を挟み込まれる。できれば言いたくないことも言葉にしていかないと、私の尊厳が守られないので仕方なく言葉にする。必要だとは思ったけれどやはりあとで自分が嫌になった。
伝えないのも苦しく、伝えたあとの私も嫌いでずっともやもやを抱えている。
やるべきことを終えて、なんとか息抜きを試みるも上手くいかなかったようだ。
夜の街を散歩する。
空を眺めて足元を見る。
店だけではなく人も昼と夜の顔があるのだろう。
心地よい空気が漂う夜に、安心できる顔ができる人とできない人の溝を感じて少しだけステップを踏んだ。
リズム。
生活のリズム。
聞こえてくる声は日本語ではなかった。
あの人はどこの国の人だろう。発せられた声が夜の風に乗り、遠くまで聞こえていた。
誰もいないと思っていた駐車場から人が現れた。
声に引き寄せられたなにか。
必要書類を送付したことを母に連絡した。
「ありがとうございます。体調はいかがですか?気をつけて仕事してくださいね。」
仲が良いのにあまり連絡をしない私へ向けた丁寧な言葉の文章を読み、私はなんだか返信できずにいる。