10月23日に開催された「伊勢河崎一箱古本市2022」 に屋号『夕寝』で出店した。
伊勢河崎一箱古本市の開催は3年ぶりだった。
朝、伊勢へ向かい車を走らせていると、 会場近くで道を間違えて少々慌てた。この辺りは狭い道が多く、1 本間違えるだけでも面倒なのだ。その後、搬入口に無事到着。 皇學館大学の岡野先生がいらっしゃったのでご挨拶をした。
「おはようございます!道を間違えて焦りました!」
「おかしいですね。慣れた道のはずなのにねぇ」
そうだ。慣れた道のはずだった。
なのに3年も期間が開くとどうやら記憶が薄れていくらしい。
荷物を降ろし、 皇學館大学ふみくら倶楽部の皆さんに台車で私のスペースまで運んで頂いた。今年もお世話になりますと伝え、 車を出店者駐車場へ移動させた。
いざ会場へ。 すでに荷物が置かれた私のスペース横には知り合いがおり、 よくみたらその隣もまたその隣も知り合いのお店だった。今回、 私は1人で出店したので、近くに知り合いがいるのは心強かった。
準備に入る前にトイレで用を済ませ、いざ準備開始。 本を並べ始めたら、頭で思い描いていた配置にはならなかったが、 とりあえず前に出店した時よりも見やすく配置できた気がした。
日差しが強く、準備を終えると汗がだらだら出てきて大変だった。 それでも皆が口を揃えて「雨が降るより全然マシです!」 と答えるのがなんだか面白かった。
私のお店は主に絵本を置いているのだが、 絵本は大きさがバラバラな上に重く、 文庫本を中心に並べているお店と比べると準備が大変だ。 絵本を販売するのは私が絵本好きなことが一番の理由だが、 伊勢河崎一箱古本市において絵本を販売することの意義を感じてい るからだ。 この古本市は同時開催のだいどこ市から家族連れのお客様が流れて くることが多く、小さな子どもを連れた方も足を運んでくれる。 以前、岡野先生に「絵本を販売するお店があると助かります」 と言ってもらったことがあり、その言葉を心に留め、 毎回できるだけ多くの絵本を持っていくことにしている。 その他には児童書やYA、詩集、文庫などさまざまだ。 なるべく何歳の人が来ても選べるような本で構成するようにしてい る。
10時になり、お客様がお店にやってきた。 小さいお子さんに絵本を選んであげているお母さん、 選んだ絵本を離さない女の子、「 海外に住んでいる家族が日本語に飢えているから」 と色んな絵本を買ってくださったご婦人、 好きな絵本作家の話で盛り上がった女性、 多くの方の絵本の好みを知り、とても楽しかった。 私が作ったすべて違う切手の栞を全部見てから数枚買ってくださ った親子が呟いていた「この配色がいい」「 大きめの切手が良い感じ」 などの会話をさりげなく聞きながら今後の参考にしようと思った 。お子さんに合った絵本を選んでほしいと言われる場面もあり、 持って行った絵本の中から合いそうなものをその場で選んで買ってもらえたのは嬉しかった。置いていた「おおきな木」 がほんだきんいちろう訳だと気づいたお父さんがいたことも嬉しかった。(ほんだきんいちろう訳を置くのはこだわりです)
「ここ以外でも出店されてますか?」と尋ねてくれた女性がいたことに出店していて良かったと思った。
人の流れが途切れたとき、 目の前にある勢田川の水面が光を受けてきらきら光る様を眺めた。 近くにいる方にばかり気を取られていたが、 俯瞰してみるとなんて良い光景だろうと思う。 川横にある遊歩道を歩く人々が本を選ぶ姿になんとも言えない気持 ちになった。準備をして下さった古本屋ぽらんさん、 皇學館大学の岡野先生、 ふみくら倶楽部の方々のご苦労とこの日までの思いを考えた。
昼に始まったビブリオバトルは観に行けなかったが、本に対する思いは伝わってきた。
昼過ぎ。友人にお店をお願いして端からすべてのお店を訪ねた。その人らしさが出ているお店、自作の本を売るお店、テーマを決めて本を並べているお店、個性が溢れていて面白かった。普段なら立ち寄らないラインナップのお店にも話しかけにいったら、思わぬ話を聞けたり、値引きしてもらったり、良いことずくめだった。
前日にクッキーを作ったので、すべての出店者さん、運営をして下った岡野先生、ふみくら倶楽部の皆さん、ぽらんさんにクッキーをお渡しした。昼過ぎに各お店を回ったのは、お昼を食べ損ねた人のお腹の足しになるかなと思ったからだった。そんな私は今回も飲み物だけで、何も食べることなく出店を終えた。以前よりリラックスしていたが、たくさんの人と関わりたかったので食べる時間が単純に惜しかったのだ。
終了後、岡野先生から「4月に某所でお会いした時に、 開催を楽しみにしています! と言って下さったことが励みになりました」と言われた。 何気ない一言、 行動が誰かの励みになることってあるのかもしれない。
「また、来年もよろしくおねがいします!」
ぽらんさんや岡野先生にかけてもらったこの言葉を励みにまた、1年過ごしていこうと思う。