夏の夜
先日、本が好きな界隈の仲間と飲む機会があった。居酒屋へ行くことすら日常ではなく、前回居酒屋へ行ったのはいつだろうと考えてみたら、冬に同じ仲間と飲んだときだと気がついた。子どもがいるとパートナーや親など自分の他に子の監護をする者がいなければ夜間に外出ができない。私の場合、子が幼い頃は監護をお願いして外出出来たとしても、子や家のことが気にかかり心の底から楽しめず、できるだけ急いで帰宅したものだった。今、娘が義務教育を終えたことでやっと飲みに行くことができるようになった。
お酒は弱くないが、お酒が好きというほどでもなくその場の雰囲気の方がよっぽど酔える。口数が多くなる者、いつもよりフランクな接し方になる者、困りごとを柔らかく話す者、いつも同じ面々なのにいつもとは異なる顔がそこにあり「人の奥深さ」たる言葉が頭をよぎったが、それすらまやかしで本当は皆、良い意味で薄っぺらいのかも知れない。わたしも含めて。
夏の夜でしか得られない香りがある。
湿度と熱が体を纏い、私を夏から逃れられなくするのだ。じっとりとした腕をさすりながら夏の香りはなんて切ないのだろうと空を見上げたとき涙が浮かんでくるのだった。