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バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

次は私も連れてって

ニッキ

この夏、「シン・ゴジラ」を3回観た。都会では発声可能上映や爆音上映などの特別な楽しみ方があったようだが、田舎ではそれとはまた違う楽しみ方があった。

3回目に観に行った場所はどこにでもあるようなシネコンだった。観客は年配の方、親子連れなど幅広く、座席も満席になることはないゆったりとした空間だった。

映画が始まり、しばらく経ったころ、優先席にいらっしゃるご老人が時折、ぶつぶつと言葉を発していることに気がついた。目で見て感じたことをすぐに言葉にしてしまう方のようで、それがなんだか面白かった。何度か席を立たれていたのだが、優先席で扉が近かったため、そんなに気になるほどでもなかった。私が座っていた列には親子連れがいて、途中でこどもがトイレに行きたくなったようだった。席を立ち、私の前を通る際、お父さんが小声で「すみません」と言っていた。同じように、トイレから戻ってきた際も「すみません」と言っていた。

私はすでにこの映画を見るのが3回目であり、ストーリーを把握している余裕もあったため、この、がさがさした、田舎っぽいゆるい雰囲気がゴジラ映画と合っているような気がしてとても楽しかった。観客まで含めての娯楽映画だと思ったのだ。

 

映画に出ていた市川実日子ちゃんが素敵だった。

その昔、オリーブ少女であった私は市川姉妹(美和子ちゃん、実日子ちゃん)を見るとほんの少しノスタルジックな気分になってしまう。

本棚の片隅にずっと置いている雑誌が何冊かあって、そのうちの1冊に実日子ちゃんが載っていた。

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横顔が美しい。横顔の美しい人にはずっと憧れている。

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パステル調のちょっと不思議な公園遊具と実日子ちゃんの雰囲気が素敵だなって見るたびに思っている。

 

***

夢を見た。

夢の中の私には恋人がいて、一緒にのんびり過ごしていた。大きな木の下に座り、芝生の上で遊んでいる人達を眺めていた。地面に手をついた私の指先から5cmくらいのところに恋人の手があって、私は触りたいけれど触れないでいた。5cmが遠い。ここで誰かがカッキーン!とホームランでも打ってくれればそのタイミングでぱっと距離を縮めてやるのに!と思っていた。夢の中の私もそんなふうだった。

恋人は一日に数本しかないバスで出かけると言った。

なにか面白いものを見てくる」

そう言って、バスに乗った。

そのあと、私は目覚めたので、恋人が面白いものを見られたのか知らないでいる。

夢の中の恋人に「私も面白いものが見たいから、次は私も連れてって」と言いたい。

いつか夢の続きが見られるかも知れないから、その言葉をいつも発せるようにしておこうと思っている。

 

 

妹のように可愛がってくれたヒト

おもひでばなし

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高校生の頃のある夏の日の夜。

家に兄の友人、フミくんが遊びに来ていた。兄の部屋から時折もれる二人の笑い声を聞きながら、すでにお風呂をすませた私はパジャマ姿で本を読みながら自分の部屋をごろごろ転がっていた。しばらくすると、兄がやって来て「フミくんが私とも話がしたいって言ってるから来てよ」と言った。フミくんは同じ中学で顔見知りだし、何回も話をしたことはあるので「いいよー」と軽く答え、本を置いてから兄の部屋へ行った。

「よぅ!」

久しぶりに会ったフミくんは私が思っているフミくんとまったく変わっていなかった。私とフミくんは同じ市内にある男子高と女子高に通っていたため、「あそこのお店はうちの女子高生がよく行くよ」などの地域ネタで盛り上がっていた。すると、兄が「ちょっとふたりでしゃべっててー」と言いながら部屋から出ていった。

お兄ちゃんは話に入れなかったから面白くなかったのかなぁ…でもそんなことを気にする人でもないな、などと私がぼやっと考えている時にフミくんは言った。

「あのさ、兄ちゃん、年頃の2人だけ残して部屋を出ていくのおかしくね?」

その言葉がなんだか妙に不思議な言葉のように聞こえた。

私は年頃なんだなぁと遠くの人のことのように思いながら、フミくんの発言と私とフミくんの立ち位置がゆらゆら揺れて見えた。

「あ、本当だね。お兄ちゃん、そういうとこあるよねー。ちょっとは気にしなよね、あはは」

思っていることの大半を表に出さず、私はそう答えた。

 

その後に私は自分がパジャマだったということに気づき、ひどく恥ずかしくなったのだった。

 

 ***

私が通っていた女子高の子達の多くは近くの男子高の文化祭へ行くことを楽しみにしていた。私も同じ部活の子に誘われて男子高の文化祭へ行くことになった。

張り切っている女の子に連れて来られた冴えない子の図にぴったり当てはまっていた私は、周りをきょろきょろ見渡すも、「あそこの部屋はなんだろう」「うむ、女子高とは違うにおいがする」などとまったく男子には目もくれず、知らない場所へ来たことを純粋に楽しんでいた。

「お、妹じゃん!」

突然、聞き覚えのある声が私の耳にすーっと入ってきた。フミくんだった。

「来てたんだー」問うフミくんに「うん、友達と一緒に。けど、私はフミくんの妹じゃないんだけど?」と笑いながら答えた。

「まあ、似たようなもんよ。あ、ヤスもいるよ!」

フミくんが指差す先には兄の友人であるヤスくんが「よ、妹!」と言いながら手を振っていた。まったく私にはどんだけ兄がいるんだ?と少々呆れながらも内心はちょっと嬉しかった。

その時、ふと、違和感を覚えた。

「あっ!ヤスくんはこの高校の生徒じゃないじゃん!!なんでこの学校の出し物の輪に入ってるのよ!」

そう、ヤスくんはこの男子高生ではなく、別の高校へ通っていた人なのだった。

「あー、いいのいいの。うちの高校、文化祭に力を入れてないし、こっちの文化祭に紛れてた方が可愛い女の子に会えるしさー」

 「え?それってありなの?」と問う私にフミくんとヤスくんは声をそろえて

「あり、でしょ!!」と答えた。

 間髪入れずに答えるふたりが面白くて本当にバカだなーと思いながら私は笑った。

私と一緒にいた友達も笑っていた。

 

「そういえば妹は誰かに声かけられた?」

突然、フミくんが尋ねてきた。

「ううん。そういうの全然興味ないし」

「あ、もう、これだから妹は!興味があるとかないとかじゃないの。いい?文化祭は変な男が寄ってきたりするから気をつけるの!わかった?変なヤツに声をかけられたら言って。なんなら、俺の名前出していいからね」

 「う、うん」

あなた達こそ変なヤツなのではないのか?と疑問に思わなくもなかったが、何かあったら声をかけて良いのだという安心感が私を包み込んだ。

 

***

私にはいつも実の兄だけでなく妹のように可愛がってくれる人達がいた。特になにかはなくとも、言葉をもらえるだけで十分だった。今になって思うとずいぶん恵まれていたような気がする。

 

終わりが見え始めた夏の、儚い空気に触れていたら、そんな出来事を思い出した。

 

 

 

bambi-eco1020.hatenablog.com

 

 

散文的に笑う

ニッキ

雨の日の田んぼ道は右から左、左から右にカエルがぴょこぴょこ通り行く。車で近づいてもカエルはすぐに逃げられるわけもなく、私はぴょこぴょこをできるだけ避けながら静かに通りを進み行く。もぐらたたきの逆バージョンとでも言おうか。ぴょこぴょこ避けの技術を磨くべく日々精進。対向車が来たら難易度が上がるけれど、それは生死の分かれ道であり運命なのだろう。

 

最近、目元の笑いじわが深くなった。鏡を見た時に「やあやあ、こんにちは。あなたもずいぶんと年を重ねたわね」と話しかけてきそうなくらいしっかりとした笑いじわがそこには映っていた。しわは年齢と共に増えていくもんで、出来れば干し柿みたいになるのはまだまだ待ってよ!とは思うけれど、私は私の笑いじわがそんなに嫌いじゃない。

私が笑ったからできた笑いじわを私は愛おしいとさえ思っている。笑いじわができるにはどんな笑い方をしたかも関係するらしいのだけど、そんなのどうでも良くて、それは笑ったからできたしわであることには違いないし、眉間にしわを作るでもなく、額にしわを作るでもなく、笑って出来たしわがそこにあることに私はホッとするのだ。

楽しい事より息苦しかったり、泣いたり、叫んだりしている方が多いかなって思うこともあるけれど、笑いじわは「そうでもないかも」と私に感じさせてくれた。

そういえば、昨日も笑ったな。あ、一昨日も笑ったかな。

私が笑った時間はあまりにもささやかで、静かに通り過ぎていく。けれど、意識せずとも流れゆく時間は優しくて温かいなって思う。

 

暑い夏の日に見た水平線は定規でピシッと引いた線のようにまっすぐでなんだか不思議なモノに見えた。私が見ている海のその先のそのまた先は滝のようになっていると思っていたのは何歳までだっただろうか。

どこまでも繋がっていてやがて一周してまたここに戻って来れる。球体って素晴らしい。

波打ち際ではしゃぐ女の子達はまたここに戻って来るだろうか。仮に戻ってこなかったとしてもきっとどこかに繋がっているのだろう。

 

暑い、暑いとこの夏も何回発したかわからないけれど、秋は少しずつ近づいている。 

数日前からカントリーエレベーターに明かりが灯るようになった。暗闇の中でうっすら明かりを漏らすカントリーエレベーターは要塞のようでなんだかワクワクする。

稲刈りも近い。

ヒグラシも大忙しだ。

 

風待ちのひと (ポプラ文庫)

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