バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

Goodbye

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4月1日から働き始める息子が今日家を出た。

2ヶ月程度前から部屋を綺麗に片付けるよう伝えていたのだが「まだ大丈夫。絶対やる」の言葉を繰り返し、作業が一向に進んでいる様子がなかった。致し方なく、再度声をかけると苛ついた様子であったので、しばらく放っておいた。

結局、息子が片づけを始めたのは3月30日の夜であった。夜通し片づけをし、家を出たのは3月31日の午前11時前だった。息子本人はオールで片づけをし、やってやった感があったかもしれないが実際はまったく片付いていなかった。計画性のなさに呆れながら、ここからしばらく毎日少しずつ片づけをするであろう私の未来を嘆いた。

大荷物を持った息子を駅まで送り、お互いに軽く手をあげて別れた。見た目には1日出張へ行く程度の別れに思えたであろう。

実際、私はそこまでの悲しさや寂しさを持っていなかった。「門出なのだから笑ってさよならしようよ」ってことでもなかった。私はそのとき、こんなに穏やかな気持ちで誰かと離れること、別れることはなんて幸福なのだろうと考えていた。

私には数年前に逃げ出すように家を出た記憶が鮮明に残っており、あのときの恐れと苦しさと責任が今もすぐに襲ってくる。あんなに苦しい別れ方はできるだけ経験したくない。(なのに、この数か月後、まったく別の苦しい思いをし、今も苦しいままなのだけど)

そのせいか、晴れやかな別れの数々は私を安心させる。築いてきた関係が大きく間違っていなかったことの答え合わせでもあるし、ずっと笑っていられるのが何よりもいい。それから、関係が継続していく予感がするのもいい。

 

息子が新生活を始めるように、私も娘との新生活が始まる。

いつもカタカタとキーボードを叩く音が聞こえる夜を過ごしていたが、今夜はひどく静かだ。

一瞬、ここは私しかいない世界なのかもしれないと錯覚し、涙がこぼれた。


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