思った
「ことば」が喉の奥の方で止まってしまっているようで、口から外へでてこない。 自身の輪郭が見えづらくなっているのがいけない。 なにかひとつでも「ことば」を記せば動き出す気がするので他愛もないことを綴ってみる。 先日、食事とリーディング公演を楽し…
子どもの頃、両親と日曜日に近くの公民館へ行ったことがある。その公民館は公園と神社が同じ敷地内にあり、両親が公民館へ行っているあいだ、わたしは公園で待っていた。公園にはブランコとジャングルジム、鉄棒のほかに大きな土管があった。この土管がお気…
通勤時と料理をしているときにPodcast番組を聴いている。そのうちのひとつに『岸政彦の20分休み』がある。この番組は社会学者の岸政彦さんが小学校の20分休み程度のゆるさの他愛もない話をする番組だ。ながら時間に気負いなく聴けるし、岸先生が話している後…
かつて私を傷つけたひとが夢に出てきた。その夢の設定は一緒にお茶をし他愛もない話をする休日の午後であった。陽射しは柔らかく相手の表情も穏やかだった。私も居心地の良さを感じ、こんな日が長く続けばいいと願ったあたりで目が覚めた。 目からこぼれ落ち…
桜の樹に青々とした葉が広がってきているのを眺めながら車を走らせた。週のはじめは気が重いが、明るい風景になんだかスタートが良いような気がした。 ただ、やはり、気がしただけだった。 そこからは慌ただしく動き、目の前の仕事に追われていたらあっとい…
シャッフル再生をしていたらスピッツの「ロビンソン」が流れてきた。4月にこの曲を聴くと憂いを感じてしまう私がいる。 春の柔らかな風と桜の淡い色はいとも簡単に心を浮き立たせる。それは夏であれば花火のようでもあるし、秋であれば紅葉であり、冬ならば…
何かを書き出せばそこから文字が流れていく。そう理解していても書く意欲がわかず、しばらく景色を眺めていた。 書くことを生業にしているわけではないので、ムリに書く必要もない。ただ溢れた感情と言葉の行き場を失ったときに書き留める場所があればそれで…
数ヶ月前の記憶が確かであるならば、例年より冬の訪れが遅かったはずなのだが、昨年とまったく同じ日に雪が降った。 移りゆく季節を肌で受け止める作業は切なくて、時折泣きそうになる。ふいに涙が溢れたら、きっと周りのひとは知らん顔してくれる。それが流…
津示路教会で午後に開催される箱舟古本市に出店する予定があったため、午前中は礼拝に参加した。 津示路教会は日本基督教団なのだが、私が幼い頃から通っていた教会も日本基督教団の教会なので、礼拝はいつもリラックスして参加している。たいして、知人の牧…
少し遅めの起床。これから出かける予定があるのだが、まだ寝ている子ども達用におにぎりを握る。かつて「自分のことだけを考えればいい」という日があったことを忘れ始めている。起きたらごはん、起きたら洗濯、常に生活を共にしている者のことが頭をよぎる…
シネコンでレイトショーを観終えて席を立った。誰もいなくなった座席を横目に通路へ出る。フード売り場の照明はすでに落ちており、ショッピングモールへ延びている通路にはシャッターが降りていた。皆、足早にエレベーターへ向かう。昼間は多くの人で賑わっ…
沙東すずさん(旧 メレ山メレ子さん)『奇貨』を読んだ。 恋人を終わりを迎えたことによる数々のエピソードをX(旧ツイッター)にたくさん投稿されていたのを眺めていた頃から「これは本になるはず。まとまった文章になったら必ず読む」と決めていたのだった。そ…
4年前、はじめて『本の会』へ行った。 友人から「『本の会』は色んな本も知れるし、そこで出会った人たちもとても面白い」と聞き、ずっと行きたいと思っていたのだ。だが、そのときの私の家庭は最悪で、夜に開催されていた『本の会』に行くなんてとても出来…
集団で会話をするのではなく、1対1で会話をするとき、自分の口から発せられる思いもよらないことばに驚くことがある。 それは、先日、寺地はるなさんと話しているときや、サウダージブックスから本を出版された大阿久佳乃さんと話しているときに感じたことだ…
発売してすぐに『母親になって後悔してる』を購入した。この本には23人の後悔している母親の姿が綴られている。皆、それでも子どもを愛している。 子どもを産むと世間からは「母性のある正しい母親」を求められた。子どもを産んだからと言って、上手く立ち回…
昨日、津市久居にあるひびうたで行われたブックマルシェにて一箱古本を出店しました。 一箱に出店するにあたり、何か自分らしさを表現したいと思い、フリーペーパーをお配りしているのですが、今回お渡しした『夕寝』6号の内容をこちらに載せておきます。 ア…
通っていた小学校の裏に公園があった。その公園には遊具とグラウンドとつつじ園があり、その横にはお寺があった。年に1度、その公園で大きなお祭りが開催された。祭りの準備を学校の廊下から眺めることができたため、子どもたちは目を輝かせながら、祭りに行…
娘の中学校卒業式だった。 新型ウイルスのために、中学校入学式を終えた翌々日から約2ヶ月の休校、クラスメイトとも顔を合わせることもなく、スタートした中学校生活だった。行事も中止、縮小を余儀なくされ、息子が中学生だった頃と比較すると、校外学習、…
1月31日。 渋谷の東急本館が閉店とテレビで放送されている同日に、名古屋の七五書店も閉店した。 私がはじめて七五書店を知ったのは、友人からだっただろうか。それとも本屋図鑑だろうか。どちらかは定かではないが、育児で慌ただしく、本もまともに読めない…
イベント準備で仕事に追われ、やっと一息。 1日のうち半分の時間を仕事に費やしたのだが、残った12時間は何をしていたのだろう。6時間は睡眠、1時間は通勤時間、2時間は家事、あとの残り時間が本を読んだり、お風呂ってところかな。言葉通り、目が回りそうに…
お風呂から上がり、屈んだとたん世界がぐらっと揺れ、そのまま立てなくなってしまった。ああ、また回転性のめまいがやったきたのだと理解した。和らげる体操を試みようとするも、吐き気が強く頭を動かせる状態ではなかった。とてもしんどくなってきてしまい…
「男心と秋の空」「女心と秋の空」どちらが多く使われるのかわからないが、今日この話題を出すのであれば「男女関係なく個人の問題」となるのだろう。 秋の空のように変わりやすい心は主に恋愛についてだろうけれど、私は時々それがとてもうらやましくなる。…
ひびうたで開催された本の会に参加した。 ほぼ毎月開催される本の会に手作りおやつを持参し始めて約2年になる。きっかけは私が苦しかった時に穏やかな場を与えてくれたことへの感謝だった。そこからは楽しみにしてくれている人の存在があり、現在に至る。フ…
やりたいことはたくさんあるのに、なかなか手が進んでいかない。 日常は映画、ドラマ、本、音楽のあいだにあって、なんだかふわふわしている。 ガトーショコラを作った。ガトーショコラはバレンタインの時期に作ることが多かったので、暑いときに作るのはな…
家庭や子どもの話になったとき、時折、昔の出来事を口にする。 「なぜ、こんなことをされたのだろう」 晴れぬ疑問がわたしの口から空気を伝い、音にする。 私のことばを私の耳で聞いているうちにさらに疑問が増し、感情的になりそうだったため、目を閉じ、す…
1年のうち、ケーキを食べる日は家族それぞれの誕生日とクリスマスで、あとは入学などの祝いごとだけだった。そこに2年前から「独立記念日」(離婚成立日)が増え、ケーキを食べる日になった。2年目にしてなかなか子どもと一緒に買いに行けず、独立記念日から20…
8月の中頃はずっと体調が芳しくなかった。動くとすぐに疲れるため、優先的でない事柄についてはすべて放棄し、ひたすら横になっていた。体調が優れなくなると健康であった日々を思う。けれど、健康な日々が続いているときにはそれらのことをすぐに忘れてしま…
6月。 不安定な5月を生き延びた先の6月はどんな日が待っているのかと期待したが、昨夜はあまり眠れず、今日も穏やかになれなかった。 月初の忙しさに加え、横から仕事を挟み込まれる。できれば言いたくないことも言葉にしていかないと、私の尊厳が守られない…
足の裏に意識を集中させ、地の上に立っている自分を感じる。 立っているということだけで幸せと思えた日を想像する。 それができるならもう、何もなくてもいいのではないかと思う。 何年も暗い水の中から浮上出来ないでいるような気がしている。光の射す方向…
家にマグカップが3つある。どこかでもらったショップ名が入っているものと、やはり何かでもらったスヌーピーのものと、もう1つは私が昔、ディックブルーナ展で購入した「ブラックベア」のものだ。 ブラックベアのマグカップは気に入って使っているけれど、…