発売してすぐに『母親になって後悔してる』を購入した。この本には23人の後悔している母親の姿が綴られている。皆、それでも子どもを愛している。
子どもを産むと世間からは「母性のある正しい母親」を求められた。子どもを産んだからと言って、上手く立ち回れるわけではなく「そんな母親いないよ。失格だよ」と言われた。罵られたこともあった。果たして私にどこまで完璧な母を求めているのだろうと途方にくれた。上手く立ち回れないことは私自身が一番よく知っていた。
「〇〇ちゃんのお母さん」と呼ばれることすら苦痛なこともあった。子どもが主体で私はそのお手伝いをする係のようにしか存在していないのではないかと思った。固有名詞で呼んでもらいたいと願った。けれど、生まれ育った場所ではない、友もいない土地で育児をする私にはそれが叶わなかった。果たして「わたし」はどこに消えてしまったのだろうと光の映らない瞳で空を見つめた。
あの頃、私自身を肯定してくれる誰かがいてくれれば良かったなと思う。手を差し伸べてくれ、声をかけてくれる人がいてくれればもう少し気楽に構えることができたのではないかと今は思っている。
『母親になって後悔してる』の訳者、鹿田昌美さんの講演会に参加した。
外で働き、家でも働き、睡眠時間も削られ、それでも育児がなってないと文句を言われる。母親ってだけでどれほど完璧でならないといけないのだろう。
今までなかなか口に出来なかった言葉たちが、発しても良い言葉として語られていく。
近年、生きづらさが多く語られる中で、人々は他人に発せなかった言葉たちを外へ向けるようになったと感じている。その中に「母親になって後悔してる」が含まれているのではないだろうか。
この本が発売されたことだけで救われた人もいると私は思っている。「そんなこと言っていいの?」と思いながら、わが身を振り返り、自分を少しだけ大事に出来るお母さんが増えたら良いなと願う。
講演会の後半で参加者の質問を読み上げる時間があった。現在進行形で育児をしているお母さんたちの切実な声に、あの頃の私を重ねた。
皆、よく頑張ってるよ。もういいよ。少し深呼吸しようか。
私は話を聞いてあげることくらいしか出来ないけれど、誰かに何かをぶちまけたいと思っている方がいればぶちまけて欲しい。
身近な存在ではないからこそ、聞いてあげられることもあると思うから。
あなたは弱くないから、頼って頼って頼りまくって生きて行きましょうね。
(本当に語りたいのよ!って方がいらっしゃいましたら、メール下さいね)