バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

帰路

シネコンでレイトショーを観終えて席を立った。誰もいなくなった座席を横目に通路へ出る。フード売り場の照明はすでに落ちており、ショッピングモールへ延びている通路にはシャッターが降りていた。皆、足早にエレベーターへ向かう。昼間は多くの人で賑わっている場所であるが、今は人の気配も熱なか、無機質なかたまりだった。エレベーターに乗り、屋上駐車場へ出た。外気の冷たさに触れ、ブルッと震えた。車に乗り込み、音楽をかけた。

レイトショーを観終えたあとの帰路が好きだ。無機質なかたまりから放り出された私が人のいる場所へ向かうようで、それでいて冷たく突き放されているような静けさがほどよく思考を刺激する。

この世にいる「わたし」と「そのほか」が明確で、自分が存在していると実感できるのだった。