数ヶ月前の記憶が確かであるならば、例年より冬の訪れが遅かったはずなのだが、昨年とまったく同じ日に雪が降った。
移りゆく季節を肌で受け止める作業は切なくて、時折泣きそうになる。ふいに涙が溢れたら、きっと周りのひとは知らん顔してくれる。それが流れることであり、温かさだと思う。
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今年が始まって1ヶ月も経っていないが、周囲の変化が忙しくて追いつけていない。去る者と訪れる者の顔色を見つつ、自身の身の置場を探している。できれば私の姿が少しでも柔らかく映っていてくれたらと願う。好かれたい気持ちは年々薄れていくのだが、周囲の人たちを不快にさせたくはないなあと思う。
空気のような存在でもいいくらいなのだが、どうやら私は騒がしいいきもののようなので、残念ながら空気にはなれそうもない。なので、私が目指す先は柔らかで温かみのあるものなのだ。
柔らかで温かみと言えば、ふくよかであればすでに願いが叶ってしまいそうだ。
そうだ、この体型はそのためにあるのだ。
自分を納得させつつ、温かいお茶を入れ、きんつばを頬張るのであった。
ごちそうさまでした。