バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

『これはすいへいせん』を読みました ~「つみあげうた」の楽しさとつながっていく心地良さ

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『これはすいへいせん』を読んだ。

谷川俊太郎さんとtupera tuperaの初コラボとのことで、読む前から期待が大きかったのだが、読み終えたあと、とても愉快で穏やかな気持ちになれた。

 

この絵本は『つみあげうた』と言われる類のものである。

「つみあげうた」とは、どんどん言葉を足していく言葉遊びのことで、『これはすいへいせん』を例に挙げると次のようになる。

「これはすいへいせん」

「これはすいへいせんのむこうからながれてきたいえ」

という感じに、ページをめくるごとに言葉が足されているのである。

「つみあげうた」で有名なのはマザーグースの中の「The House That Jack Built(ジャックが建てた家)」だと思うのだが、マザーグース谷川俊太郎さんが翻訳をしており、おそらく、そういったつながりで谷川さん自身も「つみあげうた」に興味をもたれたのではないかと私は思っている。

現に、谷川俊太郎さんの代表作ともいえる「これはのみのぴこ」も読み聞かせで人気の「つみあげうた」だ。「これはのみのぴこ」はお話の面白さとリズム感の良さに魅せられつつ、ついつい早口言葉を競うように読み上げるのが楽しい。和田誠さんの絵もユーモラスで味わい深い。

谷川俊太郎さんは今までに色んなイラストレーターとタッグを組んできた。「これはのみのぴこ」は和田誠さん、「ぴよ ぴよ」は堀内誠一さん、「もこ もこもこ」は元永定正さん、「わたし」は長新太さんなどそうそうたる顔ぶれだ。どなたも谷川さんの書かれる文章を生かして、更に素晴らしい作品に仕上がっているのがすごいと常々思っていたのだが、「これはすいへいせん」もそこに加わる作品のように感じた。

tuperatuperaさんといえば、「パンダ銭湯」や「しろくまのパンツ」、「うんこしりとり」など、ちょっとひねった笑いを可愛らしい絵と共に届けてくれる、近年では人気のイラストレーターであり絵本作家である。Eテレの「ノージーのひらめき工房」でアートディレクションも担当し、精力的にワークショップを開くなど、製作することの楽しさをこども達に伝える活動もされている。

 

さて、谷川俊太郎さんとtuperatuperaさんがタッグを組んだらどんな絵本が仕上がったのか?

その答えは「これはすいへいせん」を読んで頂ければすぐにわかるだろう。

「つみあげうた」としての面白さもあり、どこまでもどこまでもつながっていく壮大なストーリーにも感じられる。

「これはのみのぴこ」のように、読み聞かせでも楽しめる絵本ではないだろうか。

tuperatuperaさんの曲線の少ない絵をじっと眺めるのも楽しみ方の1つだと思う。

 

なにより、くるっと回るようにつながる話は安心感があって私はとっても好きなのだ。

 

 

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インデックスのしかけがかわいい!

 

キャンペーンサイトではこえがつながるスペシャルムービーがみられます。

谷川俊太郎さんもtuperatuperaさんも出てきますよ!

www.kinnohoshi.co.jp

 

これはすいへいせん

これはすいへいせん

 

 

へびのみこんだ なにのみこんだ?

へびのみこんだ なにのみこんだ?

 

 tuperatuperaさんの絵本はどれも面白いですが、中でもこの本が好きです。

 

 堀内誠一さんの挿絵が良いのです。

 

これはのみのぴこ

これはのみのぴこ

 

 これはのみのぴこ!

 

はてな題詠「短歌の目」第11回9月☆

どーも、こんにちは。

最近は、雨が続いていますね。

「秋の長雨」という言葉の響きは好きですし、雨が続けばきのこが育つので嬉しいんですけど、洗濯物が乾かないのは困りものですね。え?困ってませんか?いや、困りましょうよ。みんなで一緒に困りましょうよ!

困りついでに第二期がスタートした「短歌の目」で頭を悩ませてみましたよ。

 

tankanome.hateblo.jp

 

いやぁ、相変わらず難しいですね。

でも楽しかったですよ☆

 

1. 星

眩しくて明るい夜は星空の存在なんて気づけずにいる

2. 吹

葉が落ちるほどの風が吹き抜けてあなたの匂い残していった

3. はちみつ(蜂蜜、ハチミツも可)

あふれ出る蜂蜜眺め息を吐く すきまを埋める六角形に

4. 川

澄んだ水が流れている川の上と下を結んでくぐりぬけたい

5. 秋刀魚

言ったでしょ泣いているのは秋刀魚の煙が目に染みたからだって!

 

テーマ詠「秋」

まだできる  きのこは頭を押し上げた 水を含んだ土をのけて

水滴が流れ落ちてく窓をみて内と外の温度差を知った

 

 

引用スター頂けると嬉しいです。

 

グリコ。チヨコレイト。パイナツプル。

車で信号待ちをしていたら、歩道を歩く親子が目に入ってきた。お父さんは左手に買い物袋を提げていた。女の子は小学校低学年ぐらいで快活そうに見えた。

ふたりは手を高く挙げて向かい合い、じゃんけんをしていた。

女の子が勝ったらしく、大股で跳ねるように数歩進んで行った。

グリコ。チヨコレイト。パイナツプル。

そう、言いながら歩いていることは容易に想像できた。

女の子は立ち止まるとお父さんの方へ振り返った。お父さんはにこっと微笑み、また手を高く挙げてじゃんけんをした。

ヨコレイト。

女の子が勝ったようで、大股で楽しそうに跳ねて歩く。

次も同じ動作を繰り返したのだが、また、女の子がじゃんけんに勝った。

パイナツプル。

お父さんと女の子の間がどんどん広がっていく。

女の子は得意そうに跳ねる。お父さんさんは苦笑いだ。

ふたりの距離が広がる一方なので、お父さんは先ほどよりも高く高く手を挙げてじゃんけんをする。左手に持った買い物袋がカサカサと音を鳴らすように揺れているのもかまわずに。

グリコ。

やっとお父さんが勝ったようだ。けれど3歩。まだまだ女の子とは距離がある。

 

そこで、信号が変わったので、私は車を走らせた。

どこまでじゃんけんを続けるのかな。

お父さんは追いつくかな。

勝手な想像をした私は小さく微笑んだ……はずだったのに、泣きそうになっていた。

青い空とふたりの笑顔はとても眩しかった。くらくらした。

手にしたいあたたかさのカタチを見たような気がしてきゅっと苦しくなった。

直線道路を走っているはずなのに、見える景色は歪んでいて、青い空と不釣り合いだと思った。交差点を曲がり、建設中のショッピングモールを眺めたとき、先ほどよりも景色がはっきり見えはじめた。

グリコ。グリコ。グリコ。

少しずつしか進まないけれど、進んでいれば追いつくかな。手が届くかな。

私も手を高く挙げてこの手で掴み取ろうかな。

 

這ってでも進んでいれば届くと思いたい。今は。

グリコ。チヨコレイト。パイナツプル。