今年はハチが多いらしい。
と、こないだ娘が学校で聞いてきたようだが、実際にハチを目にすることが多い気がしている。
先日、公園に行った。その公園は起伏のある箇所があり、ちょっとした山道を歩いているような気分になれてしまう素敵スポットであったが、うひょひょと浮かれて歩いていたら、木の根元あたりにハチがたくさんいて驚きのあまり飛びあがってしまった。耳を澄ませたらブブブンと羽音も聞こえてきた。あまりの怖さに前のめりに歩いたため、足がもつれて転びそうになった。
ハチを見たら、逃げちゃダメ!というけれど、ブブブン羽音を聞きながらゆっくりしずしず歩くなんてなかなか大変なことだなと思った。
その後、その近くを男の子と母親、おじいちゃんらしき3人組が通ったようで、木々の間から男の子の泣き声が聞こえてきた。
「わーん。だからこんな道歩きたくないっていったんだよー」
「はやくもどろうよー」
「お母さんがこっちに行こうっていったけど、最初からイヤだったんだよー」
声を聞く限りでは驚いただけで刺された様子ではなかったので安心したのだ。
ハチが飛び、きのこが生え、こどもが斜面をそりですべって笑っていた。
公園の特別ではない光景に時々グッときてしまう。特別ではないのに、自分では手に入れられない何かのような気がして羨ましく思っているのかも知れない。
きっと私が持っている特別ではない「何か」も羨ましがられていて、あなたが持っている「何か」を私は羨ましく思っているのだろう。
そういうのがぐるぐる回りながら、世界は作りだされているような気がしている。