短大で栄養学を学んだ。
調理実習、解剖生理学、食品加工、生化学…色々学ぶ中で「この本を読むといいですよ」と勧められたのが食生活という専門雑誌だった。
内容は現在の食に対する情報、昔から伝わる伝統的な食の話、食材の話、国家試験模擬問題など興味深いものが多かった。
ふむふむ、と読み進めると難しい内容にぶちあたり「なんじゃ?これ?」と思うこともしばしば。
ただ単に勉強不足なだけなのだが、頭を使ったなーと感じるちょうどよい頃合いに「やなせメルヘン」のページが現れるのである。
ショートストーリーで読みやすく、それでいて落ち着く内容にホッとさせられていた。
学校を卒業してしばらく食生活を読んでいなかったが、いよいよ国家試験を受けてみようかなという気持ちになり、再度読み始めた。
現在はカリキュラムが変わり試験科目も違うのだが、当時は14の試 験科目があり、子どもが寝たのを見計らってする勉強は張り合いがあると同時に追い詰められることも多々あった。
そこでまたまた登場する「やなせメルヘン」にどれほど心癒されただろう。
なんとか1度の受験で合格できた理由のどこかに「やなせメルヘン」があるように思う。
やなせたかしさんが亡くなって、本屋さんで特設コーナーが設けられていた。
私の他にも「やなせメルヘン」を読み、救われ、当時を思い出している人がいるに違いないと思っている。