友達の生まれ育った地の話を聞くのが好きだ。
私の知らない風習があって、私の知らない文化がそこにはあって、一風変わった人なんかもいたりして。
ご近所同士との距離も土地によって様々だ。
私はそれらの話を聞きながら風景を思い浮かべ、日本って広いなぁと考えたりする。
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先日、「ほしいものりすと」に載せていた本を私に贈って下さった方がいた。
箱を開けて、本が目に入って「わぁ、嬉しいな」と手にしたら、その下にもう1冊の本が入っていた。
プレゼント包装になっていたので、ゆっくり開封し、取り出してみるとこちらの絵本が入っていた。
『世界のまんなかの島 ~わたしのオラーニ~』
絵本とともに「知り合いの出版社さんのおすすめ翻訳本です」とのメッセージが添えられていた。
「あぁ、ほしいものりすとに載せていないものでも届くんだ」
呆けた私の頭に最初に浮かんだのはその言葉だったけれど、だんだん頭の中がクリアになっていくにつれて嬉しさが溢れてきた。
これって本当にプレゼントじゃないですか!
嬉しいじゃないですか!
なんですか、こんなサプライズあるんですか、世の中には!
私の顔も自然にほころんでいて、なんだかおかしくて笑ってしまった。
気持ちを落ち着けてから読んだこの本は、素敵な絵本だった。
『世界のまんなかの島 ~わたしのオラーニ~』は、著者が幼い頃に訪れた父の故郷であるイタリア・サルデーニャ島の小さな村オラーニで見た、感じた風景を描いたノンフィクション絵本である。
今はもっと近代的になっていると書かれていたが、この町の風景は訪れたことがない私でもどこか懐かしく感じた。こどもであった著者がオラーニを訪れると、いとこ達が集まってきて手を引っ張りながら街中を駆けていく。赤ちゃんが産まれれば、皆が顔を見に行き、仕立て屋さんが服を作るのも見に行く。ハエが飛び回る風景も死者が横たわった光景もすべてが絵本に収められている。
温かく感じられる日常だけでなく、そのすぐそばには生もあり、死もある。著者が過ごした風景を淡々と綴る絵本に裏表はない。感情に引きずり込まれることも、読ませようとするなにかもない。
色使いの美しい絵と文に読み手はきっと何らかの自分が過ごしてきた風景を重ね、思いを馳せるのはないだろうかと思う。
個人的には死が日常と一続きになっているのがとても好きだ。
「死んだ人を 見たことある? え、ないの?」
著者が木の上でイチジクをむいている時にいとこが何でもないことのように、そう話しかけていた。それから一緒に亡くなった人を見に行くのだ。女の人が泣いていて、よそゆきの服を着たおじいさんが横たわっている。おじいさんの顔は白くて冷たい。
死は、それまで出会ったことのない、なんともいいようのないものだった。
幼き日の体験は尊いのだ。
くねくね曲がった街並み、人々の表情などが丁寧に描かれた絵が味わい深く開いているだけでも楽しい。
『世界のまんなかの島 ~わたしのオラーニ~』は本当に素敵な絵本だった。
プレゼントして下さったJさん、ありがとうございました。
嬉しかったです!