バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

京都の夜

金曜日。

仕事を昼過ぎに切り上げて電車に乗り込んだ。長閑な景色を窓から眺め、時折うとうとしながら日常から非日常へ誘われていく。電車を乗り換え、降り立ったのは京都駅であった。

以前より気になっていた台湾のシンガー、Joanna Wang(王若琳)のライブが行われるため京都にやってきた。ジョアンナを知ったのはYouTubeだったかアトロクだったか、spotifyだったか思い出せないが、YouTubeで9m88と歌っているマドンナのカバー『Material Girl』がMVのコミカルで愛らしい雰囲気も相まって大好きになった。昨年、奇妙礼太郎のラブコールを受けたジョアンナが奇妙礼太郎とともにツアーをしているのだが、その日は都合がつかず行けなかったことをずっと悔やんでいた。

今年、アルバムが発売されたのでもしやツアーがあるのでは?と、少々期待していたがツアーはあれど名古屋公演がないことを知り一瞬、諦めた。けれどそれも言葉どおりの「一瞬」であり、京都か東京へ行っちゃえばいい!とすぐに思い直したのだった。五年に一度くらいの周期でどうしても生で音を聴きたいと思うバンドなどに巡り合う。そう思ったときは何が何でも都合をつけることにしている。

だって音楽はなまものだから。

ホテルでチェックインを済ませてから身軽な装いでライブ会場へ向かう。会場のアーバンギルドが入っているビルが分かりづらく、一度通り過ぎてからすぐに気がつき、引き返してエレベーターに乗った。階段に何人か並んでいたが、大きなスーツケースを持った人が数名見受けられた。聞こえてくる話し声が日本語でなく、おそらく台湾のジョアンナファンの方々なのだろう。

開場し、お店の中へ足を踏み入れ席につく。早速、ドリンクを交換しようとしたらドリンクメニューが30種類くらいあって大いに悩んだ。今回は宿泊なのでアルコールが入っているものにしようとモスコミュールを頼んだ。少し濃い目のモスコミュールを飲みながらざわついた開場で響く話し声に耳を傾ける。体感としては半分は言い過ぎかもしれないが4割くらいは外国の方のようだった。それらは言葉、洋服の露出加減、荷物などで判断できた。開演時間になってもステージにジョアンナの姿がないと思ったらしれっと客席後方からジョアンナが歩いてステージにのぼった。足を組みギターを弾きながら歌い始める。ニューアルバムの曲に加え、涙そうそう時の流れに身をまかせなど日本の曲を歌いあげる。反応をみる限り、台湾の方々にもお馴染みの曲らしい。途中、ドラえもんを歌い出すジョアンナに笑ってしまったが、隣にいた台湾の方がドラえもんを口ずさんでいたのが感慨深かった。ジョアンナのMCがすべて英語だったため、頑張ってリスニングしたのだが、内容がわかっても笑うまでの反応が出来ず、ああ、もっと英語を勉強しておくんだったと後悔した。

本編を終え、アンコールを3曲も歌ってくれた。アンコールの最後、「日本の皆さんが知ってる曲。とても有名な曲を歌います」と言ったので、何が歌われるのかわくわくしていたら、まさかの名探偵コナンのテーマで大笑い。ジョアンナは弾き語りで音程が取れなかったりしても慌てることなく歌い直し、とてもリラックスしていてチャーミングなひとだった。自然体とはこういうひとのことを指すのかもしれない。

週末の楽しく豊かな時間はシャボン玉のように輝いて弾けていった。


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ライブを終えてから、ひとり京都の街を歩く。

事前に調べておいた夜喫茶のお店へ向かった。その店は大通りに面しているが地下にあるためか適度に空いていた。お店の角でずっとミラーボールが回っていて、全体的に薄暗いのだが、ダークな雰囲気はなく妙に居心地がよかった。


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レモンパフェをいただく。

生クリームが甘い!と思っているところでレモンシロップか現れてくれた。面白いバランスで美味しかった。

 

夏の夜。

鴨川沿いには多くのひとがいた。

湿度が高く、何もせずとも体がベタつくような環境は決して過ごしやすいとは言えない。

けれど、皆がとても楽しそうに見えた。

あの瞳には何が映っているのだろう。

思わず身を乗り出しそうになったとき、水面が街明かりに照らされて輝いていることに気がついたのだった。


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