バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

夜をあるく

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2年半くらい前にとても悲しいことがあった。その日は家にじっとしていられなくて、夜に外へ出た。何も目的などはない。ただ、どこまでも続いている道を行けるところまで歩いた。歩きはじめたときは、頭の中が混乱していておそらく無表情だったと思う。しばらく歩き続けると、疲れによって叩き起こされたように体が熱くなってきて、少しだけ落ち着きを取り戻した。

今度は目から涙がぽたぽた落ちてきた。こんな小さい面積の眼からどれだけの涙が溢れてくるのだろう。これだけ出れば干上がりそうなものだけど、私の眼は湧き水のようなものなのかなと思いながら歩いた。

夜で良かったと思う。頬を伝って地面に落ちるほどの涙をも暗闇は隠してくれる。

夜は時々とてもやさしく私を包んでくれる。

1年前は毎日のように「夜の散歩」をしていた。ひんやりとした空気が寒さから心地よさに変わるくらいの距離を歩いた。澄んだ空気は街灯の光を鮮明に映していく。それは、一筋のひかりのように見えた。

私は何かを託すように立ち止まってひかりを眺めた。

夜の道はスキップする私も隠してくれる。何処に向かえば答えがあるのかわからず、同じところをぐるぐる回っている気がして滅入ってくるときは、なんとなくスキップする。普通に歩くより地面から離れている時間が長いから、ちょっとは変化をつけられるんじゃないかなっていう悪あがき。

前に進むと言うより、高く跳ねるようなスキップが好み。

 

『夜をあるく』を読んだ。真夜中にはじまる冒険は楽しいことのはじまりだった。

私は夜をあるく話にとてつもなく弱いと思った。

 

暗闇は心をリセットしてくれる。

また、イチからはじめようか。

 


空気公団 "僕にとって君は" (Official Music Video Full Ver.) - YouTube

 

 

 

京都へ行った日記。「博物館の夜」

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京都へ行った。目的は寺尾紗穂さんと七尾旅人さんのライブだ。ライブは夕方なので、その時間まで街を歩いた。「街を歩いた」の言葉どおり、私は京都駅から地下鉄もバスも使わずにひたすら歩いた。まずは鴨川に向かって。

鴨川には鴨、鷺、雀、烏、鳩など、さまざまな種類の鳥がいた。最近、雀を見ることがなかったので近くまで寄ってくる雀を立ち止まって見つめた。

鴨川沿いは犬の散歩やジョギングをする人の姿があった。ゆるやかな流れの上をのんびり進む鳥を、こんなにゆったりとした気持ちで眺めたのは久しぶりだった。しばらく歩くと、親と子ども2人が何やら話している家族がいた。どうやら年賀状用の家族写真を鴨川バックに撮っているようだ。「このポーズいいよ!」皆が笑いながらわいわいやっている姿が微笑ましかった。

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「うらやましい」まではいかないけれど、私もそんな家族を夢見たなって思っていた。

夢は夢なのだから、いつまでも心が安らぐような柔らかな毛布にくるまれている夢を見続けようと思った。希望は捨てる気はない。

 

お昼からnowakiへ向かった。完全予約制のミロコマチコ個展 「けむくじゃらのうろこ」を観たのだが、絵から溢れる生命力に圧倒された。nowakiの方が、丁寧に説明して下さったので、より深く絵を理解することができた。ミロコさんの絵本は何冊か持っているけれど、原画を観たのははじめてだったので、キラキラした絵の具がとても印象的だった。印刷するとそこまでのキラキラが出ないらしい。

また、木や布に直接描いている作品が風合いがあり、とても良かった。経年すると味わいが変わるとの説明を受けた。何年か後に同じ絵を観たいと思ったが、購入するには少々お高く、心に焼きつけることにした。

nowakiは靴を脱いであがる、小さなお店で心が和んだ。

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ミロコマチコさんの展覧会「いきものたちはわたしのかがみ」図録を購入した。読みごたえがあって素晴らしい。サイン入りだと言われ、巡回を待たずに購入した。重たかったけど、嬉しい重みだった。

そのあと、前から行きたかったメリーゴーランド京都へ向かった。四日市にあるメリーゴーランドには何度も行っているが、京都店ははじめて。調子に乗って建物5階まで階段を使ったら、思った以上に息があがってしまい、はぁはぁしながら入店することとなった。はずかしい。

こじんまりとしたお店には、選びぬかれた絵本、児童書、文芸書などがあり、棚をじっくりと眺めた。しばらくすると、京都店の店主、鈴木潤さんがいらっしゃったので、エッセイを読んだことを伝えた。直接お伝えできて良かった。

メリーゴーランド京都店はミナペルホネンと同じ建物に入っていたため、せっかくなのでミナペルホネンにも寄ってみることにした。ミナペルホネンのテキスタイルは大好きなのだけど、ちょっと手が出ないお値段なので見るだけのつもりだったのだが、入ってすぐ、このバッグにひとめぼれをしてしまった。f:id:bambi_eco1020:20201223094318j:imagef:id:bambi_eco1020:20201223094332j:image

このバッグは鐘のかたちに似ているため、ベルバッグと呼ぶのだと店員さんが教えてくれた。4つのテキスタイルで作られたものはこの期間限定で、私が訪れた前日に入荷したとのこと。値段を確認したら、ミナペルホネンにしては手が届くものだったので思いきって購入した。この先、もうミナペルホネンを購入することはないかもしれないけれど、このバッグを眺めるしあわせはあっても良いなと思ったのだ。

バッグを袋に入れてもらっているあいだ、店員さんと話をした。

「今日はライブを観に京都へ来たんですよ」

「何のライブですか?」

寺尾紗穂さんと……」

「あ!寺尾紗穂さんと、七尾旅人さんのですね!京都文化博物館の!」

店員さんは、私が行く予定のライブをご存知だったようで、会話が弾んだ。

「楽しんできて下さい」

私は友達も知り合いも少ないけれど、出会う人には恵まれていると思う。

今年は特に、出かけた先で「ずっと来たかったです」「お会いしたかったです」など、いつもなら心の内にしまっておく言葉を相手にそのまま伝えている。外出自粛などもあり、孤独を感じときに、思いを言葉にして届けることは互いにとって気持ちの良いことだと思えたのだ。

夕方になり、いよいよライブ会場の京都文化博物館へ向かう。

QRコードが入場券のため、入場がスムーズだった。

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博物館と言うだけあり、趣があった。ただ、とても寒かった。おそらく、暖房設備がないのだろう。最後までコートを脱ぐことはなく、心だけでなく体も震えた。

寺尾紗穂さん、七尾旅人さん、両者とも素晴らしかった。紗穂さんは私にとって約1年ぶりのライブだった。昨年、紗穂さんのライブと著書『彗星の孤独』を読んだことで、当時の誰にも話せずに抱えていた思いをメールに綴り、紗穂さんへ送った。驚くべきことに、返信を頂き、そこから何度かメールのやり取りをさせて頂いている。アーティストに個人的な悩みや思いを伝えるのは失礼だったなとあとから思ったが、自身のことも綴った丁寧な返信メールから紗穂さんの人柄が伝わってきた。あのとき、私を支えてくれたひとに違いなく、今回のライブは紗穂さんが歌い出したとたん、涙が溢れてきた。私のツラかった時間を思い返し「ようやくここまで来れました」とお伝えするような涙だった。めまいや不眠に何度も襲われたり、気持ちもついて来ない日が多かったが、それでも前を向いて、未来をつかむために行動した私を紗穂さんの歌声は労ってくれたようだった。

紗穂さんは曲の合間にハンセン病水俣病などの話をされ、旅人さんは少年兵の話をしてくれた。わたしたちが息をしているあいだに、何かで悩み、苦しんでいる人は大勢いる。すぐに手を差しのべることはできないかも知れないけれど、無知であることは時には罪であると思う。歩みを止めてはいけない。

おふたりの思いは言葉となり、歌われて、私の中へ入り込んでいく。

セッションの『猫まちがい』『スロウ・スロウ・トレイン』を生で聴けて良かった。それほど素晴らしかった。

 

京都の夜。

誰もいない通りをひたすら駅に向かって歩く。

自転車に乗った親子が横を通っていく。

「危ないからはじっこ走ってね」

「でもはじっこ走ったら歩いてる人はもっともっとはじっこに行かなきゃいけないからぁ」

女の子の素直な思いが静けさを割いて響いていく。

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高校生の頃。修学旅行先で朝練をしていた運動部は、京都泊の翌朝、京都御所までランニングをした。人の少ない京都の街を皆で駆け抜けた。

夜の京都を歩いていたら、あの空気を思い出した。

 

あれは、人の気配に守られた静けさ。

 

 

 

 

 

2020年に購入した絵本をまとめました

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いつの間にか、来年がちらっと見えるような年の瀬になりました。

今年は新型ウイルスの影響で家にいる時間が増え、本を読まれた方も多かったのではないでしょうか。

私も例年より本を読んだのですが、絵本に限ってはなかなか本屋さんへ足を運べなかったため、あまりリサーチできなかったように思います。

それでも購入した絵本はたくさんありました。

「今年購入した絵本」で記事を書くのは7年目になりました。今年購入した絵本は「今年発売したものに限る」というルールでずっと書いています。

私の個人的趣味で選び、思い入れを書いています。

よろしければ最後まで読んで下さい!

 

 

『ジュリアンはマーメイド』

 

ジュリアンはマーメイド

ジュリアンはマーメイド

 

 

ジェシカ・ラブ 作  横山和江 訳

(サウザンブックス社)

スイミングの帰りにマーメイドのお姉さんと出会ったジュリアンはおばあちゃんに「ぼくもマーメイドなんだ」と打ち明ける……。

ここ数年、LGBTQを意識した絵本や児童書が増えていると感じますが、この本もその思いを組みつつ、最低限の言葉で表現した素晴らしい絵本だと思います。

何より、ジュリアンの美しいこと!好きなものを身につけることの喜びと気高さが見えた気がしました。また、おばあちゃんの自然体で豊かな心に思わずホッとさせられます。

この絵本、水着姿の女性が何人か描かれているのですが、細い人、ふくよかな人、どんな体型の人であっても堂々としていて、素敵だと思いました。

 

 

『めいわくなボール』

 

めいわくなボール

めいわくなボール

 

 

牡丹靖佳

(偕成社)

ホームランボールがえんとつから家の中へ入りこみ、めちゃくちゃにする話です。

これだけだと、どれだけ面白いか伝わらないと思うのですが、この絵本は絵がとても良いのです。「絵本だから」この面白さを引き出せたと言っても過言ではありません。跳び跳ねるボールを追うように、家の各部屋の様子がわかります。猫は飛び上がり!住民はボールが当たらないように頭を抱え、小さくなっています。家具の配置や雑貨の色使いが素敵で何度も読み返していました。言葉もリズムがあり、ちゃんと着地(オチ)するため、読み聞かせしても面白いと感じました。

 

『ぼくはいしころ』

 

ぼくはいしころ

ぼくはいしころ

  • 作者:坂本 千明
  • 発売日: 2020/09/14
  • メディア: 単行本
 

 

坂本千明

(岩崎書店)

みちばたに落ちているいしころのように、ポツンとひとりで生きてきたねこのお話です。

「こえをあげてはいけないよ おそろしいてきに みつかってしまうから」

ずっと前に教えてくれな誰かの言葉を守り、ひっそりと暮らしていたねこ。確かにその世界は守られていました。黙っていれば平和で、寂しいこともないのですから。

ある日、優しい「誰か」がねこにごはんを与えてくれます。そのことが、固く閉ざしていた、ねこの世界を変えるのです。

「そうだ ぼくは とても おなかが すいてたんだ」

言葉が流れる水のように溢れだし、止まらなくなったねこの姿に、何度読んでも切なさと力強さを感じます。

黙っている世界は平和です。

でも、それは、あなたの望んだ世界なのですか?

ねこが私に問いかけてくるとき、私は行動し、声を出す意味を考えます。

こわいです。できればやりたくないです。

それでも、越えた先には新しい何かがあり、きっと世界を広げてくれるのだと思います。

紙版画で描かれた、猫の柔らかそうな毛、一本一本から力をもらえるような気がしました。

 

『ねこは るすばん』

 

ねこは るすばん

ねこは るすばん

  • 作者:町田 尚子
  • 発売日: 2020/09/10
  • メディア: 大型本
 

 

町田尚子

(ほるぷ出版)

にんげんが出かけていき、家に残されたねこ。おとなしく留守番をしているかと思いきや、どこかに到着し、外の世界で遊び回ります。

「どこへいく?」と問いかけられて、次のページで「どこかにとうちゃく」しちゃうスピード展開。絵本では時々、こういうことが起こり、子ども達がげらげら笑ったりします。(余談ですが、いしかわこうじさんの「パンダくんのおにぎり」がこんな展開で子ども達にめちゃくちゃウケが良かったです)

さて、気の向くままに1日を過ごすねこを観察しましょう。

あれ?これはある日の私では?なんて思ってしまうはず!

ねこ絵本を描かせたら、右に出るものはいないと言われている町田さんらしく、猫の表情や仕草がいちいち笑わせにきます。

疲れた日にこの絵本を読むと、なんだか明日も頑張ろうかなって思えます。

気負わず、のんびりいきましょう。

 

レミーさんのひきだし』

 

レミーさんのひきだし

レミーさんのひきだし

 

 

斉藤倫・うきまる 作  くらはしれい 絵

(小学館)

ひとり暮らしのレミーおばあさんのおうちには、大切にしている小さいたんすがあります。そのたんすの一番下のひきだしには、何が入っているのでしょう。ときどき声が聞こえてきます。

たとえば、大事な人からプレゼントをもらったとき。中身だけでなく、包装紙やリボンも愛しくなり、大事に取っておくことはありませんか。

私はあります。

包装紙のテープはゆっくりとはがし、大事にたたみます。リボンはくるくるっと巻いてしまいます。かわいい箱はそのまま、しまいます。それらは、過去の思い出としてではなく、またいつか新しい息を吹き込むためにひととき、眠ってもらうのです。

レミーさんの穏やかな心が、びんや箱にも伝わって、皆が笑顔になれるようなお話です。斉藤倫さん、うきまるさんペアが紡ぐ優しいおはなし、イラストレーターのくらはしれいさんが描く素敵なイラスト(私はくらはしさんの描く花が好きです!)による相乗効果で柔らかい世界を作っていると感じました。

いいな。年齢を重ねても夢があるな、って、良い歳になった私は思ったのです。

 

『こどもたちは まっている』

 

 

荒井良二

(亜紀書房)

こどもたちは、いつも何かを待っている。

日常の中で私たちは「待つ」という行為を繰り返しています。明日が来るのを待ち、季節を待ちます。嬉しい知らせを待つこともあるでしょう。

「待つ」行為から、私は少しの希望を感じます。もしかしたら明日が来ることを待ちたくない子もいるでしょう。「待つ」ことは常に未来が想定されています。「待つ」ことは当たり前のようで当たり前でないのかもしれません。

荒井良二さんが描くこどもと景色は、こども達に夢を与えてくれているような気がします。

この絵本は長新太さんの『ちへいせんのみえるところ』にインスパイアされて描いたようです。

一緒に読んでみてほしいです。

 

ちへいせんのみえるところ

ちへいせんのみえるところ

 

 

『やねうらべやのおばけ』

 

やねうらべやのおばけ

やねうらべやのおばけ

 

 

やねうらべやのおばけ

しおたにまみこ

(偕成社)

おばけは、長いこと屋根裏部屋で1人楽しく暮らしていました。ある日、この家に住んでいる女の子が屋根裏部屋にやってきたのです。

おばけは女の子に自分の部屋には入ってほしくないため、怖がらせようとします。でも女の子はちっとも怖がりません……。

はじめて誰かと友達になるとき、最初から相手にたいして心を開いていることって案外少ないですよね。相手がどれだけ良い人であったとしても、私は相手を知らないし、また、自分の気に入った場所に来られるとちょっとイヤだなぁって思うことは自然だと感じます。おばけの行動はいじわるなようでいて、とても良くわかります。自分のテリトリーに人が入るのは疲れますしね。でも、気になるひととは面倒でも近づきたい心が同時にあるとも思います。

『やねうらべやのおばけ』は読むひとによって、感じかたが異なる絵本だと思いました。しおたにさんが描く、体がまるっこくて、手足のほっそりしたおばけはかわいいです。絵は木炭鉛筆で何度も重ねて描かれているそうです。柔らかい風合いの絵がとても素敵で私は大好きです。

 

 

『ながいながい ねこのおかあさん』

 

ながいながい ねこのおかあさん (MOEのえほん)

ながいながい ねこのおかあさん (MOEのえほん)

 

 

キューライス 文  ヒグチユウコ 絵

(白泉社)

こねこのお母さんは、おしりも見えないくらい長いねこ。ある風の強い日、こねこはお母さんのしっぽのあたりまで飛ばされてしまいます。

そこにお母さんは存在していても、お母さんの顔が見えないと不安なのか、こねこはお母さんの顔の方へ歩いていきます……。

とても人気のある画家、ヒグチユウコさんと多彩な活躍をされているキューライスさんの共作絵本です。ヒグチユウコさんは今までにも本を出版されていらっしゃいますが、どちらかと言うと文字数の多い、童話に近いものが多かったように思います。今回、キューライスさんが文を書かれたことでヒグチユウコさんにたいするイメージが私の中で少し変化しました。少ない情報をリズミカルな文で表現し、それをヒグチユウコさんの絵がさらに深みのあるものにしたこの絵本。小さい子でも楽しく読めるような気がしました。

 

 

『ネコノテパンヤ

 

ネコノテパンヤ

ネコノテパンヤ

 

 

高木さんご 作  黒井健 絵

(ひさかたチャイルド)

尾道に実在する畳一畳分の「ネコノテパン工場」をモチーフにした絵本です。あるひ、ななえがひとりでお店番をしていたら不思議なお客さんがあらわれて……。

お話は素朴で温かみがあり、黒井健さんの絵と、とても合っています。私は小学生の頃から、黒井健さんの絵が好きなのですが、黒井さんの絵は、心がささくれだっているときに優しくなでてくれるような気がするのです。そのイメージは今もずっと変わっていませんでした。(個人的に黒井さんの絵本では「手ぶくろを買いに」「12月24日」「さんぽようび」が大好きです)

いつか、尾道のネコノテパン工場を訪れたいと思いました。たべものが出てくる絵本は楽しくなるので好きなんです!

ネコノテパンヤの最初のお客さんを見たとき、なんだか絵本『ふしぎなおきゃく』を思い出しました。『ふしぎなおきゃく』もひさかたチャイルドでしたね。

 

『こたつ』

 

こたつ (日本傑作絵本シリーズ)

こたつ (日本傑作絵本シリーズ)

  • 作者:麻生 知子
  • 発売日: 2020/11/13
  • メディア: 単行本
 

 

麻生知子

(福音館書店)

ある家族の大晦日から元日の様子を、こたつを真上から見た視点で読み進める絵本です。

慌ただしく動く大人を他所に、こたつでごろごろし、おもちゃを出しまくる子どもたち。大晦日だから起きてる!とがんばりってはみたものの、いつの間にか眠ってしまう……そんな誰しも経験したことのあるような光景がありました。

もしかしたら、もうこの光景に出会うことはないかも知れないと思いつつ、私はずっとこの光景がしあわせの象徴のような気がして追い求めてしまっています。別にこたつでなくても良いのかも知れませんが「家族が1つの部屋に集まれること」はそれだけで尊いことなのだと、年齢を重ねた今、切に思っています。

 

『ほげちゃんとおともだち』

 

ほげちゃんとおともだち

ほげちゃんとおともだち

 

 

やぎたみこ

(偕成社)

ゆうちゃんにひろくんというはじめてのお友達ができました。ゆうちゃんと一緒にひろくんの家へ行ったぬいぐるみのほげちゃん。ひろくんのおもちゃたちと何やらごちゃごちゃし始めます。

大人気シリーズ「ほげちゃん」の最新刊です。ほげちゃんはひろくんの家でもやりたい放題で、最初はお利口にしていたひろくんのおもちゃたちも一緒に遊びまくります。

いやぁ、おもちゃの話だとは思いながら、子どもが何人か集まるとこの状態になるよねー!と母である方々は頷くことでしょう。ただ、この絵本、素晴らしいと思ったのが、ほげちゃんとおもちゃたちが遊んだあとのページで、ほぼ遊んだものがかたづけられているんです。「おもちゃたち、やるな!」って思いませんか?だって、こどもってブロックとか床に散らかしてお母さんが叱りながら、足でブロック踏んでイライラするところまでがお約束じゃないですか。どれだけ遊び倒しても終わりよければ……なんて思ってしまいました。最後のページに描かれているねこのムウがなんとも言えず可愛いので見てください!

 

『怪物園』

 

怪物園 (福音館の単行本)

怪物園 (福音館の単行本)

  • 作者:junaida
  • 発売日: 2020/12/04
  • メディア: 単行本
 

 

junaida

(福音館書店)

たくさんの怪物をのせて旅をする「怪物園」がありました。ある夜、怪物園の玄関を開けたままにしたため、怪物たちが外の世界へ抜け出してしまったのです。街のまんなかをパレードのように歩く怪物たち。街に怪物がやってきたために、外で遊べなくなった子どもたちは空想の旅へ出かけます。

子どもたちの豊かな心に気持ちが和みました。現実と空想の世界のトビラは本当にどこかにあるんじゃないかなと私は思っています。緻密な絵と鮮やかな色彩は何度読んでも新しい発見がありそうです。 

今年、世界的なウイルスにより、行動が制限されました。家に閉じこもる生活を強いられた今、この絵本を読むことで「想像力」と「創造力」について考える機会を与えられた気がしました。

 

『ねこはすっぽり』

 

ねこは すっぽり

ねこは すっぽり

 

 

石津ちひろ 文  松田奈那子 絵

(こぐま社)

ごろりーん ごろりーん

のびーん のびーん

ぴたぴた ぴたぴた

オノマトペにあわせてねこが自由に動き回ります。体をぐいーんと伸ばしてみたり、水を飲んだり、からだをなめたり。

私はねこを飼ったことはありませんが、家にねこがいたらこんなふうだろうなと思い、心が和みました。

「ぴとーん ぴとーん」の顔とかかわいくてたまりません!「ぴとーん」が何をしている姿か気になる方はぜひ読んでみてください。

ねこをすっぽり抱きたくなると思います。

 

『大事なことはみーんな猫に教わった』

 

大事なことはみーんな猫に教わった

大事なことはみーんな猫に教わった

 

 

スージー・ベッカー    谷川俊太郎

(径書房)

この本の帯に、訳者である谷川俊太郎さんが

私たちが猫から学ぶのは自分勝手に生きる方法です。

と、書いています。その言葉どおり、ねこのように自分勝手に生きればいい!と強く思える本です。

内容はコミカルなねこの絵があり、動きを説明するようなかたちでたくさん書いてあります。ちょっと悩んだときに読んだら悩んでいることがバカらしくなるかもしれません。

谷川さんのまえがきにこんな言葉も書いてありました。

ただ純粋に無目的に自分勝手にしていればいいのです。権力や名誉や愛や正義を追求しては行けません。考えたり反省したりするのも禁物、過去も未来もなくただ一瞬一瞬したいようにする、それが秘訣です。

私たちは考えるいきものですから、常に無目的でいることは難しいですし、そういうわけにもいかないでしょう。でも、実は考えていることの半分以上は考えなくても良いことである可能性はあると思います。

もう少しリラックスして、生活してみるのも良いのではないでしょうか。

これ、ほぼ私自身に問いかけています。

 

***

他に月刊誌の「こどものとも」なども購入していますが、そこまでの体力がなかったので……言い訳です。

 

本は世相を反映すると思うのですが、絵本にもそういったモノがあったりします。

書いているひとに感情があり、その思いが作品として具現化されているのですから当然かもしれません。

絵本は文と絵で構成されているため、文字で多くのことは語られないぶん、奥ゆきがあります。

 

絵本はただ眺めるだけもよし!

深読みするもよし!

読み手への自由度は高い、楽しい世界ですのでぜひ、足を踏み入れてみて下さい。