子どもの頃に読んだ絵本の中で、ある意味一番インパクトのあった絵本です。
少女と人形である「なおみ」の交流を描いた写真絵本。
月刊絵本「こどものとも」を毎月楽しみにしていたのですが、これを配られて一瞬、凍り付きました。「こわい。こわいよー!!」
当時、日本人形は魂が宿りやすく、髪の毛が伸びたり朝起きたら場所が移動していると思っていた私にこの絵本はキツかったです。本棚にあるだけでこわくてしばらく眠れませんでした。
それでもなんとなく気になる存在で、真昼間の明るい部屋の真ん中でたまに開いて読んでいました。女の子はなおみと仲良しで、いつも一緒にいるんです。ケンカもするし、病気になったなおみの心配もします。
そして・・なおみは死んでしまうのです。「人形であるなおみが死ぬってなんだろう?よくわからない」と当時は思っていました。
この絵本はしばらく忘れかけていたのですが、月刊絵本から25年の歳月を経てハードカバーとなり出版されました。書店で見かけた時「あっ、なおみだ!」とすぐ気が付きました。まさかこの絵本がハードカバーになるなんて思いませんでしたけどね。
大人になってから読むとまた違った景色でみえてきました。作者である谷川俊太郎さん、沢渡朔さんは何を伝えたかったのか?
なおみと女の子の時間の流れ。人形が死ぬということ。子供の時には気付かなかった小道具たち・・。
絵本では動物や道具などを擬人化したり、また、擬人化していなくてもそれらと人が交流するお話はたくさんあります。
「くまのコールテンくん」が最初に浮かんだのですが「もりのなか」「バーバパパ」や先日私が書いた啓蟄の日におもうこと - バンビのあくびで紹介している「ロンパーちゃんとふうせん」もそうだと思います。「ふしぎなともだち」なんて目に見えませんからね。
友達は人でなければならないのか?気持ちの通じ合ったものであるならば友達ではないのか?と考えるうちに「間違いなく女の子となおみは友達であったんだな」と25年経ってやっと理解しました。
読む人によっておそらく感じ方の変わる絵本であると思います。
福音館のHPによるとなおみはこの絵本のために作られた人形のようです。
子どもの時に読んだ本をまた読み返してみると楽しいですね。私ももっとたくさん読みたいと思います♪

- 作者: マリー・ホール・エッツ,まさきるりこ
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1963/12/20
- メディア: ハードカバー
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今週のお題特別編「素敵な絵本」