窓に打ちつける雨の音で目を覚ました。目を開けては見たものの、暗闇に慣れるのに少々時間を要した。トイレに行こうと立ち上がり、周囲のものにぶつからないようにゆっくりと、ぽてぽてと、歩いた。暗闇の中を歩くのは真昼間に歩くときの3倍以上の時間がかかるものだと思いながらドアをあけた。
家の廊下やトイレはセンサーライトになっているため、ドアを開けて進んで行くと勝手に明かりが灯る。トイレに入り、用を足してそのままぼやっと座っていたら明かりがぷつっと消えた。センサーライトに私が反応していないようだ。両手を大きく振ったら明かりが灯った。
あとから子ども達と「トイレで用を足し、明かりが消えたときにどう対処しているか?」について話をしたら、頭をぶんぶん振る者と助けを呼ぶかのように手を大きく動かす者がいた。
この私たちの暗闇での行動を他人が見ていたらさぞかし滑稽なことだろう。
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今まで、1つのモノを他人と取り合わなければならないシチュエーションになると譲ってしまうことが多かった。わかりやすいところで言えば、やりたい係があったとする。2人定員のところに自分を含めて3人が手を挙げたとき、私は他の2人に譲ってしまうのだ。自分が引けば事はおさまるからそれが良いと思ってしまう。特に疑問も持たずにそのまま生きてきたけれど、最近はどうしても譲れないことがあったら「やりたい!」と表明し続けてもいいなと思えてきた。例えそのポジションが手に入らなくても、私の気持ちを大事にしたい。
心にカタチはないけれど、私は私の心のカタチを想像する。
日々、揺れる心はその都度カタチを変える。
割れていたり壊れている時は修復するために必要なことを考える。
心が死んでしまわないように。私は自分の心を大事にする。
昔ながらのケーキ屋さんで買ってきたモンブランは
甘すぎなくてどれだけでも食べられそうだった。