バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

卒園式でした

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娘の卒園式だった。

 
 
ここに引っ越してきてから今の職場で働き始め、息子を保育園へ入園させた。
慌ただしく毎日が過ぎていき、そんな生活にもやっと慣れた頃、義父が急死した。
周りの人に「短い間だったけど、こちらへ帰ってきてくれたから孫とも遊べたし、お義父さん幸せだったと思うよ」と言われるも何処か遠いところの出来事に聞こえた。
実感があまりなかったが、穴が空いてスーッと空気が抜けていく浮き輪みたいに少しずつしぼんでいく。義姉は10円ハゲが出来て夫は全身に蕁麻疹がでた。心的負担はどこかに現れ、そして互いに支えるしかない。
 
 
しばらく経って、娘を妊娠した。
今の職場にまだ1年も勤めた訳ではなく、更に小企業で産休の前例はない。1人が欠けることの大きさも考え退職の方向で話をした。
 
「出産したら戻ってきなよ」とポツリと社長が言った。
 
失礼ながら、人間的に尊敬出来る社長ではない。けれど、必要としてくれるのであれば応えようと思った。
 
妊娠9ヶ月まで働き、その後お休みをもらい娘を出産した。
仕事復帰を4月の入園に合わせたため、娘は8ヶ月で保育園に入園した。
 
その娘の卒園式。
 
小学校と同じように6年間通った。
まだ歩けなかった娘が歩けるようになり、言葉を覚え、友達とのコミュニケーションを図り遊べるようになる間、ずっとここに通っていた。
入場してくるお友達を眺めて「皆、大きくなったな」と昔の姿と重ね合わせる。
卒園式は親子がそれぞれの顔を見られるような座席になっていた。娘は緊張しているようだった。
保育証書を受け取り、私に渡す時「ありがとう」と言った。「おめでとう」と返し、手を握る。
小さかったと思っていた手はとても大きくなっていた。いつも手を繋いでいたはずなのに、全然気づかなかった。
 
『さよならぼくたちのほいくえん』を歌い出すと、Nちゃんが号泣し始めた。「しばらく前からね、家でお絵かきをすると卒園の絵しか描かないんですよ」とNちゃんのお母さんが言っていた。歌うのもやっとのNちゃんを支えるように歌声は後半になるにつれてどんどん大きくなっていく。6歳でも互いに支えることを知っている。「すごいなぁ」と滲んだ景色の中でそう思った。
 
在園児が入場し、歌をプレゼントしてくれる。在園児はたった1歳しか違わないのにものすごく幼く見え、それがまたこの子達(卒園児)の成長を見せつけられたようで、グワっとこみ上げてくるものがあった。
DVDの上映になると、口々に「これは⚪︎⚪︎ちゃん。あ、あれは××くんや!」と楽しい雰囲気に。皆で笑い温かい空気に包まれた。
 
全てのプログラムが終わり、退場していく子ども達。
胸を張り、在園児と繋いだ手を引っ張っていく。とても頼もしい背中を後ろから拍手で見送った。
 
式を終え、廊下で1歳の時の担任の先生に「長い間通ってたけど、最後になっちゃったね」と声をかけられた時、ずっと抑えていた涙がポロリとこぼれた。
赤ちゃんの頃からずっと支えてくれた先生の真っ赤な目を見たら堪えきれなかった。
 
娘が成長したことを喜んでくれる人はたくさんいる。皆が見守っていてくれる。
 
「お母さんもお疲れ様」という言葉をもらい、お礼を込めて静かにお辞儀をする。
 
 
息子と合わせて8年間通った保育園。
 
本当にありがとうございました。