ちょうちょが2匹ひらひら飛んでいるのに見惚れていたら、乗っていた自転車がフェンスに突っ込んで転んでしまった。
小学生の頃の話である。あまりのバツの悪さに、誰にも見られていないかあたりを見渡してみると、自転車に乗ったおばさんが不思議そうな目を私に向けながらすいっと通り過ぎていった。
ひらひら飛んでいるちょうちょは空とのバランスがほどよくて、どれだけ見ても飽きなかった。
ある日はかまきりの卵をとってきてたくさんのかまきりが生まれるのを眺めた。
私が思い出す幼い頃の風景には季節があった。草の上で休んでいるナナホシテントウにちょっかいを出しておしっこをひっかけられたり、そういうことの繰り返しだった。
息子が幼い頃、ベビーカーを押しながら公園を散歩していたら、ショウリョウバッタが何匹もぴょんぴょんはねていた。幼少期を思い出しやや興奮した私はおやこになったショウリョウバッタを捕まえて息子に渡そうとしたが、虫嫌いの息子はいやいやして触ってもくれなかった。近くに保育園から散歩にきたと思われる園児がいたので「バッタ、いる?」と聞いたところ「いるいる!捕まえたの?すごい!」と興奮しながら受け取ってくれた。
「面白い顔してるでしょ?きれいなみどりだよね」
私が話す言葉にうんうんうなずく園児が可愛かった。
「これは、レモンのにおいですか?」
「いいえ、夏みかんですよ」
娘が最近、音読しているのはあまんきみこの「白いぼうし」である。何度も読んでいるけれど、手品みたいで素敵なお話だと思う。優しい雰囲気とともに、においや澄んだ空気まで感じさせてくれるので読んでいてとても気持ちがいい。
娘の教科書をちらっとのぞいたら素敵な挿絵が描かれていたけれど、北田卓史さんの絵ではなかったのでちょっぴり残念に思った。
私の頭の中ではこどもの頃からずっと、北田さんが描く運転手の松井さんが優しい顔をしながらハンドルを握っている姿が浮かんでいる。
本棚から私が持っている「白いぼうし」を取り出した。
何年か前にBOOKOFFで300円くらいで購入したけれど、今なら娘に読んでもらえることだろう。
運転手の松井さんと一緒にいろんな人に出会い、不思議な体験をして楽しいところへ連れて行ってもらったらいいなと思う。
車のいろは空のいろ 白いぼうし (新装版 車のいろは空のいろ)
- 作者: あまんきみこ,北田卓史
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2000/04
- メディア: 単行本
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