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バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

『七夜物語』とこどもの成長

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『七夜物語』を読んだ。

酒井駒子さんの表紙と同じように素敵なお話でとってもわくわくするファンタジーであった。

読み始めてすぐ、私はこどもの頃のわたしになった。

どこにでもいそうなこどもが本の世界へ導かれ、進んでいく、あの高揚感がそこにはあった。

 

小学四年生のさよが、図書館でみつけた『七夜物語』は読んだはしから内容をすっかり忘れてしまうふしぎな本。さよはクラスメイトの仄田くんと一緒にその物語に導かれ、「夜の世界」へ迷いこむのだ。料理上手なおおねずみのグリクレル、あらゆるものを夜の世界へ連れ込もうとするウバ、人間のように話し出すエンピツやコクバン。夜の世界での出来事は夢があるけれど、厳しさも同時に合わせ持っていた。現実の世界では、さよや仄田くんの成長が垣間見られ、微笑ましく思えた。

途中、ちょっと教訓めいていてうるさいかなと思う部分もあったのだが、読み終えてしまえば素直に「楽しかった」と思えた。こどもの未知なる力と想像力は底知れないなぁと思ったのだ。

今も昔も、「こどもだけが見える」「こどもだけが行ける」と言ったお話は数多くあるが、それらの物語を創り出しているのが大抵は大人なのだと思うと、なんだか不思議なことのように思えてくる。それらは自分がこどもと話していて得た言葉を膨らませたものなのか、それともうっすら覚えている幼少期の実体験を元にしているのか、はたまた全くのゼロの状態から自らが絞り出したものなのか、どうやって創り出しているのかなと思ったのだ。いずれにせよ、書き手の世界へ読み手がどれほど入り込めるかでファンタジーは楽しみ度が変わると思っている。

***

こどもは冒険をすると一回り成長する。

冒険と限ったことではなく、まだまだ体験したことが少ないために、新しい領域へ入るたびに目に見えた成長をする。

一昨日、娘がラジオ体操へ向かっていた際、道路で転倒した。私はその場に居合わせていなかったため、どのような転び方をしたのかわからないのだが、左手から血を流し、膝小僧に軽い擦り傷を作って帰ってきた。ちょうどラジオ体操へ向かっていた近所のPTAの方がウチまで連れてきてくれたのだが、その時は半ベソぐらいだったのが家に入ったとたんにワァワァ泣いた。「いたいいたい」と涙をダラダラ流しながらワァワァ泣いた。左手は中指、薬指が薄く皮を剥いだような擦り傷でああ、これ、ヒリヒリして痛いやつだと思った。小指にいたっては爪からの出血がひどく、剥がれそうになっていた。爪の処置は化膿しても困るので、病院へ連れて行くことにした。うちのこども達は体調を崩すことはあっても怪我をあまりしなかったため、小児外科って近くにあったかしら?からのスタート。調べてみると、息子が3歳くらいの頃に1度だけ行ったことがある病院に小児外科もあることがわかった。

私はその病院へ娘を連れて行った。待合室に入ると、娘以外にこどもはおらず、あとはほとんどご高齢の方であった。「そうだ、ここは以前、待合室の椅子が木でできた長椅子で、地域に密着した病院だった」とその時に思い出した。椅子はさすがにグリーンのよくある椅子へ変わっていたが、待合室の狭さも空気も温かな雰囲気もあの頃のままであった。優しそうなおじさん先生は娘の傷を見ながら「夏休み早々、痛かったねぇ」と仰った。おばさま看護師さんは孫に処置をするかのように、「ちょっとだけ痛いけど我慢してね」声をかけながら包帯を巻いていた。

娘にとっては初めて訪れる病院であったため、来る前は緊張した面持ちだったのだが、全体的な雰囲気が柔らかいので娘は居心地が良かったようだった。会計時に化膿どめをもらい、私達は帰宅した。

とても暑い日だったので、帰宅してすぐ娘は飲み物を飲みたがった。いつもは冷蔵庫から飲み物を取り出し、もう片手にグラスを持ってテーブルまでやってくるのだが、片手がぐるぐるの包帯巻きなのでそういうわけにはいかない。片手で冷蔵庫を開け、その手で冷蔵庫のポケット部分に入っている冷水ポットを取り出すだけでも四苦八苦なのだ。そこでやっと私に声をかけた娘。私は片手に冷水ポット、もう片手にグラスを持ち、娘の前に置いた。娘は自由な右手でグラスをつかむと、お茶をごくごく飲み干した。

包帯がグルグル巻かれた左手は何をするのにも不自由だった。

勉強をする時には扇風機の風でめくられるノートを抑えるのが大変だし、暇だからゲームをしようにもコントローラーが持てない。本を読もうとすれば、カバーがずれてきてイライラし、トイレで用を足したあとも、汗をかいた状態でパンツやズボンを片手のみであげるのは難しかった。

昨日、再度病院で診察してもらい、化膿はしていないことを確認した。処置をされ、もう少し指が自由になるかと思いきや、またまた包帯でグルグル巻かれ、娘の左手はまるでミトンの手袋をはめているかのようになった。

ミトンちゃんは前日の不自由さを少しでも解消すべく、色々考えた。お茶を飲む際にはグラスから柄付コップにし、勉強をする時は早めにクーラーをつけた。本は読む前にカバーを外し、傍に置いた。ゲームは出来ないけれど、iPadで行うゲームぐらいなら問題はなかった。着替えなどは見るからに難しそうなので、都度声をかけていたが、出来るところまでは自分でやろうとした。くつ下だって片手で器用に履いていた。

たった2日の間にまざまざと成長した姿を見せつけられた私は、ただ驚くばかりだった。

こどもにとって、学校へ通っていることを日常とするならば、夏休みは非日常である。

ついつい私は夏休みと言うと「お弁当を作ったり、宿題を見るのが大変だな」って気持ちが先立ってしまうのだが、夏休み最後の日に一体、この子たちがどう変化したのかを感じ取らねばいけないと思った。

 

まだまだ始まったばかりの夏休み。

この先、何があるのか楽しみにしながらスイカにかじりつこうと思う。 

 

 

 

七夜物語(上) (朝日文庫)

七夜物語(上) (朝日文庫)

 

  

 

七夜物語(中) (朝日文庫)

七夜物語(中) (朝日文庫)

 

 

 

七夜物語(下) (朝日文庫)

七夜物語(下) (朝日文庫)