先月、子どもの本屋さん『メリーゴーランド』の店主である増田喜昭さんの講演を聞く機会があったのですが、*1その時に本の出張販売もしていたので、ちらりと眺めに行きました。その中で気になる児童書があり「これはどういう本なんですか?」とお店の方に尋ねたら「それはナンセンスでとっても面白いですよ!」と言われたので購入してみました。
先日のエントリには書いていませんが、その児童書は増田さんがお子さんに読み聞かせもしてあげていた本だとのことでした。
その児童書がこちら。
『年をとったワニの話』
年をとったワニの話―ショヴォー氏とルノー君のお話集〈1〉 (福音館文庫 物語)
- 作者: レオポルドショヴォー,出口裕弘
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 2002/11/20
- メディア: 文庫
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この本は作者であるショヴォー氏が息子であるルノー君のために作ったお話が4つ詰め込まれています。
ルノー君がショヴォー氏に鋭いツッコミをする場面も書かれており、所々クスッと笑えます。思いの外残忍な描写がいくつもあり、それがシュールで面白いのですが、人によっては「子どもに読ませるのはちょっと・・」なんて思う方もいるかも知れません。
私は子どもの時に多少残虐な物語に触れることも大事だと思いますし、この本はそんな描写も含めて笑いに変えていきます。おそらく、私が子どもの時に読んでいたら大人になってから読み返したい本に間違いなくなっていたと思います。それぐらいインパクトがあって面白いお話でした。
例えばですが、1つ目のお話「ノコギリザメとトンカチザメの話」ではノコギリザメとトンカチザメはくじらの赤ちゃんを真っ二つにして殺してしまいます。お母さんクジラの恨みを買い、始終逃げ回りながらも悪さをする2匹。とうとう最後はクジラにヒラメのように叩き潰されてしまいます。
その時のルノー君とショヴォー氏の会話がこちら。
「パパ、ヒラメってなあに」
「ヒラメっていうのはね、ひらべったい魚なんだよ。けさ、食べたじゃないか」
(略
「じゃあ、クジラは、サメたちをころしたわけじゃないんだね。ただひらべったくしただけなんだね」
「あんまりひらべったくされたもので、二ひきとも、死んじまったのさ」
「するとパパ、二ひきは、目がさめてみたら、死んでたってわけ?」
「そういうことになるな」
ここで、この話は終わり。なんとも言えない結末。
きっと、この後は「さあ、ルノー、もうぐっすりお眠りなさい」となるのではないかと思いますが、寝る前にコレかよ!と私ならツッコんでしまうかも知れません。
次のメンドリとアヒルの話でも目玉がネズミに食べられて小石を詰めたりと思わず「うわぉ!」と叫んでしまいそうですが、不思議な魅力に引き込まれついついページをめくってしまいました。
ショヴォー氏とルノー君のお話集は全5巻らしいので、全部読むぞと心に誓いました。だってだって本当に面白いのですよ!
そして、私も子ども達とショヴォー氏とルノーくんのような愉快な会話が出来たら良いなと思いました。
・・・なんて、思っていましたらズイショさんのこちらのエントリが読んでしまいましておおっ、これは素晴らしい!と叫んだのです。
ズイショさん、素敵ですね☆
ほっこり。