ヨシタケシンスケさんの『もう ぬげない』を読みましたー。
先月もヨシタケシンスケさんの本を紹介させて頂いたばかりで、正直「ヨシタケさんばっかり紹介して!」と思われないかな?と少々躊躇ったのですが、いやいや、やっぱり面白かったので『もう ぬげない』を全力でご紹介させて頂こうと思います!
先週発売されたこの絵本はすでにTwitter等で話題になっています。普段、絵本を読まない層の方にも支持されていてヨシタケさんの発想と表現力には感心するばかりです。
さて。内容はタイトルどおり『もう ぬげない』お話となっています。

このあとお風呂に入る予定の(服が脱げなくなった)男の子。
服が脱げなくなった理由はおかあさんがいそいで服を脱がそうとしてひっかかったから。ひとりでぬぐから!と言ってはみたものの・・・。
自分が子どもの頃、もしくは子育てをしている中でこの場面と同じようなことに陥ったことはないでしょうか?
これ、はまってしまうと本当に脱げないですよね。服を脱ぐのに使用する大事な「手」はばんざいポーズのために服の中ですし、もうどうしようか?ずっとこのままなのかな?いろんな想像が頭の中をぐるぐるとめぐったことと思います。
この本の主人公である男の子も「ずっとこのままだったらどうなるのだろう?」と考え、様々な想像をします。
で、ですね。一通り、考えを巡らせたのち、我に返った男の子は「そんなことも言ってられない!何が何でも脱ぐんだーーーっ!」とこのような行動をとります。

「あ!もしかしたら、さきに ズボンを ぬいじゃえば いいんじゃない?」
これこれ!今回のポイントはこれですよ!
「お風呂へ入る」という目的を達成するために、目的に一歩でも近づこうと、先にズボンを脱ぐ選択をした男の子。
その気持ちはわかる。よくわかる。
だけど、これが命取りになることも・・・

絶望。
先へも進めず戻ることもできない。
動けないことに絶望し、自らの手で羞恥プレイを選択したことにも絶望しているのではないでしょうか。おっぱいとおへそが顔のように見えますが、その表情もどこか儚げに見えるのは気のせいではないはずです・・。
そこに「まだ着替えが終わらないの!」の言葉をひとまず飲み込み、無言で登場した救世主はこの方だったりします。

そうです。おかあさんです。
ぼくが服を脱げなくなったのは、元をたどればこのおかあさんのせいですからね。僕としてはおかあさんに従うなんてまっぴらごめんだったとは思うのですが、あの羞恥プレイから逃れるために背に腹は代えられなかったのでしょう。致し方なくされるがままに、衣服をはぎ取られ、そののち、お風呂でじゃーじゃー洗われてしまいます。
お風呂から上がった男の子が発した言葉。
・・・けっきょく いつも おかあさんの いいなりだ。
この一言は切ないですし、母親目線でみるとちょっと反省する部分もあるよなぁなんて思ったりしました。こどもの気持ちをどこまで焦らず見守れるかは、毎日の課題でもありますよね。私も笑いながらこの絵本を読んでいて、この一言で身を引き締めました。緩急がある良い絵本だなって思ったんです。
ですがこの絵本、最後にオチがありまして。
そこまで読むと「あ、あ、さっきの!私がちょっとしんみりしちゃった気持ちを返して!!」と叫びたくなります。ゲラゲラ笑いながら「なんなの、もう!面白いじゃないの!」とも叫びたくなります。
いやぁ、面白かった!
この絵本の魅力は終始、男の子目線で話が進んでいくところにあるのではないかと思います。「そうそう、そんな気持ちあったな」「こどもの頃はアホだったよなー」なんて懐かしく思いながらも笑えたり、「ああ、うちの子のそれやった!」と自分の子と重ね合わせて笑ったり。
どこにでもある、あるあるな事柄であるからこそ面白い。
日々の生活の中には、この絵本のような面白いことがどこかに転がっているはずなので、それを集めながらみんなで笑えたら良いんじゃないかなと私は思いました。
笑いどころ満載の素敵な絵本でしたので、ぜひぜひ読んでみて下さいねー。おすすめですっ!
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