月に一度ぐらいの頻度でこどもの本屋『メリーゴーランド』へ行っています。
毎月変わるディスプレイはテーマが設けられており、今月はお菓子のようでした。ケーキ、チョコレート、ドーナツ……考えただけでほんの少し笑えるのがお菓子のいいところであり、春にぴったりのような気がしました。
私がメリーゴーランドを訪れた日はとても暖かい日で、いつもは閉じているドアが「どうぞ、お入りなさい♪」と言っているかのように、ぱっかーん!と全開になっていました。足を踏み入れた店内は、人が少なかったせいかとても静かでゆったりしており、前の通りを走る車の音以外に私の耳に届いたのは本をめくる音だけでした。隣のカフェからはカレーのにおいが漂い、このままここで寝そべって昼寝したくなりました。お店の中なんでもちろん寝っ転がりませんでしたけど、それぐらい居心地が良かったのです。
一番目立つ平台の上は東直子さんの本が並べられており、短歌の本がこんなにも前面に並んでいるのもメリーゴーランドらしいなと思いました。
娘が欲しがった「かめくんのさんぽ」をレジに持って行くと、いつものように「わたしのワンピース」の袋に入れて下さいました。この袋が可愛くて捨てられず、家に何枚もたまっています。なにか使い道があると良いのですが。
***
特に忙しいわけではないのですが、あんまりブログを書く気になれなくて、本ばかり読んでいました。あと、テレビも見ていました。テレビと言えば、BS JAPANで放送されている『ご本、出しときますね?』がめちゃくちゃ面白くてかかさず見ています。MCのオードリー若林さんが作家とトークをする番組なんですけど、作家が何を考えて文章を書いているのかがわかったり、エゴサーチしちゃうの?なんてことも伺えたりして楽しくて仕方ないのです。
こないだの回では、朝井リョウさんが、怒っている読者がいると嬉しいとお話していました。怒っているということは「自分の大事な何かを乱されかけるほどのなにかを与えたと解釈できるから」と。逆に「共感しました」だと、あまり思考回路を働かせることができなかったんだなと思うらしいです。
朝井さんほどではないですけど、私のブログもたまにコメントを頂く機会があるのですが、その際に差し障りのない言葉よりも、よくわかんないけど、何かを伝えたいってことだけは伝わってくる言葉の方が嬉しかったりします。感情がそのまま表れた言葉は文章が乱れていても相手に伝わるんじゃないかなと思いました。
『ご本、出しときますね?』は、最新の放送回が番組HPで観られるので、気になる方はぜひ観て下さい。今後出演予定の作家さんってところに「佐藤友哉さん、島本理生さん、中村航さん、中村文則さん、平野啓一郎さん、山崎ナオコーラさん 他」と書かれているのでおそらく今後も面白くなると思われます!
さきほど「本ばかり読んでいた」と書きましたので、最近読んだ本をいくつか並べておきます。
昔、サンリオのキャラクターで「パティ&ジミー」っていたと思うんですけど、あんな感じの可愛らしいイラストと短い文章で構成されている小さめサイズの絵本です。
はるの色は、黄色。
あたたかい、おひさまの色。
まぶしい、キンポウゲの色。
そよ風にゆれる、スイセンの色。
ジョーン・ウォルシュ・アングランドが原文でどう書いているのかわかりませんが、小川糸さんが訳なので全体的に優しい印象でタイトルの「はるになると」がぴったりだなと思いました。
きくちちきさんの「こうまくん」は文で読ませるというより、絵で読ませられる雰囲気です。色づかいと絵のタッチから躍動感が感じられます。
amazonは表紙の画像がなかったので、絵本ナビで確認して下さい。
これは、ちょっと、びっくりぽん!な絵本でした。ある日、家に不思議なセールスマンがやってきて「あなたの汚い物を、素晴らしい物に変えます」と言うのです。鼻くそをお菓子に、うんちを贈り物に、げっぷを音楽に、おならを香水に……。
イタリアの作家が描くこの絵本は、鼻くそやうんちが出てきてもそんなに汚らしく映りません。ユーモアがあってこどもが好きそうな絵本って感じがしました。
- 作者: パトリック・ネス,ジム・ケイ,シヴォーン・ダウド,池田真紀子
- 出版社/メーカー: あすなろ書房
- 発売日: 2011/11/07
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 62回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
カーネギー賞を受賞している児童書です。
読み終わった時にずどんと重くなったというのが正直な感想です。主人公である13歳の少年が真実を知りたくない、認めたくないばかりに閉じ込めた感情を「おまえがわたしを呼んだのだ」と突然現れた怪物に揺さぶれていくのが痛くて、辛くて、私の胸はなんだかざわざわしましたけど、現実を見なければいけない時も多々あるし、しかもそれが、身近な人の生死の問題だったら、目を背け続けることはできないのだと思わされました。文と絵が調和しているのもあって、次から次へとページをめくってしまいました。良書です。言い切ります。
映画化されるため、トレーラーが公開されていました。
「幸せになりやがれ!」
タイトルだけ連呼しても楽しいのではなかろうかと思いながら読み始めましたが、タイトルどおり「幸せになりやがれ!」な内容でした。雪舟さんの小説はどこか不思議で幻想的な表現があるため好みはわかれるかと思いますが、私は大好きなんですよね。
表題作を含め、2つの話が収められているんですけど、1つが女性同士、もう1つが男性同士の愛の話です。どちらも美しい雰囲気で、読み終えた時に、口から吐き出した息が静かに空中へ溶け込んでいくかのようでした。
表題作「幸せになりやがれ」に登場する「楯」は前作の『プラトニック・プラネッツ』にも登場しているので、そちらも読まれるとより雪舟ワールドにどっぷりつかれるかも知れません。
不思議で綺麗な世界☆ 雪舟えま『プラトニック・プラネッツ』を読みました - バンビのあくび
***
バタバタした日もやるせない日も嬉しい日も寂しい日もありますけど、みんな、みんな、幸せになりやがれ!
私は明日からも生きていきます!
メリーゴーランドの今月のディスプレイ。
下の方にある、ケーキや鳥、花などは絵のタッチからつつみあれいさんが描かれているのではないかと私は思っているんですけど、どうでしょう?